とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

代理母とは

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問


最近、姉が「近ごろは代理母に出産を代わってもらえるそうじゃないか。やれるだけの努力をしてみようよ」とダンナに迫られてるんだって。


姉は、子ども好きの彼の気持ちを考えて、とても悩んでいる。


解答


子どもをつくれず悩んでいたカップルも子どもを産める新しい医療技術が今世界で続々と開発され、実用化されています。


こうした技術自体は、男女のカップルだけのものではありません。


同性のカップルやシングルで子どもをもちたいという人たちの願いをかなえる技術として用いることもできます。


また、男女の産み分けや着床前受精卵診断、遺伝子操作、治療の可能性もあります。


人間には父母が存在する、分娩した女性が母、といったあたりまえと思われてきた常識さえ通用しない時代がやってきました。


新しい生命の誕生に、人間がどこまで介入することが許されるのでしょうか?


人工授精は、人工的に精子を女性の子宮内に送り込む技術です。夫の精子を用いて行われるAIHと、夫以外の精子が用いられるAIDがあります。


日本でもすでに1949年以降2万人近くがAlDによって誕生したと言われています。


AIDの場合、子どもの父親がだれかは問題です。


実際上は夫の嫡出子として出生届が出されているでしょうが、夫は生物学上の父親ではありません。


夫が事前にAIDを承諾していなかったとして裁判で争い、夫の嫡出子ではないと認められた例もあります (東京地裁 1998· 12· 19判決)。


体外受精は、排卵された卵子を採取して母体外で精子と受精させ、2~3日培養してから子宮内に移植する技術です。


日本でも1983年以降2008年までで約21万5000人が誕生しています。


最近では、顕微授精技術による体外受精に加え、凍結歴 (卵)を用いた出生児数が増えています。


しかし、妊娠率は 20~30%にとどまります。

妊娠率を高めるために培養期間を長くする試みがなされています。


日本では、日本産科婦人科学会が、夫婦間でだけ認めるという規制をしていますが、1996年からの約10年間に、姉妹や兄弟などが卵子精子を提供する非配偶者間体外受精で124人が誕生していることが明らかになっています。


冷凍保存していた夫の精子を夫の死亡後に用いた体外受精により妻が出産した例もあります。


最高裁2006 9 · 4判決は、子どもからの死後認知の請求を認めませんでした。


不妊に悩む夫婦を救う画期的な技術という期待も大きいのですが、法的、倫理的にもさまざまな問題があり、かつ女性の身体に大変な負担もかかります。


また、費用負担が大きく、途中で断念する人もいます。


2004年度から、特定不妊治療費助成事業がはじまりましたが、負担の大きさは変わりません。


生活がすべて治療最優先にならざるをえないので、治療のために仕事をやめざるをえないととに

もなります。


しかし、こうした技術だけではまだ不妊を克服できない夫婦もいます。 そうした夫婦の中には、日本では認められていない方法を求めて海外へ行く人もいます。


夫の精子を第三者の女性に人工授精して妊娠、出産してらう代理母、夫婦間で体外受精した受精卵を第三者である女性の子宮に移植して代わりに妊娠、出産してもらう代理出産、夫の精子と第三者の女性の卵子体外受精して、さらに別の女性が妊娠、出産する第三者卵子代理出産


夫婦のうちの一方とだけでもできる限りつながりのある子どもをもちたいという人たちがいるのです。


こうした方法にはさまざまな問題があります。


子どもの母親はだれなのでしょう?

卵子を提供した女性なのでしょうか?

出産した女性なのでしょうか?

子どもを育てようとして子どもが生まれることを意図した依頼主なのでしょうか?


出産女性と依頼主が子どもを取り合う場合もありますし、子どもを押しつけ合う場合もあります。


代理で出産する女性は、子どもをもてない人を助けたいという善意で協力しているといわれます。


しかし、出産は、場合によっては命にかかわる危険な仕事です。 相対的に経済力のあるカップルが経済力のない女性に金銭を払って代わりに出産してもらっていることも事実です。


物価が安いアジアで、アジアの女性を使った代理母ビジネスも展開されています。


戦前は跡取りを産むのが女の役割でしたから、子どもを産めない女は、妻として失格でした。


もしこんな時代に不妊治療の技術があったら、多くの女性が自分はやりたくない治療を強制されていたでしょう。


しかし昔はそんな技術はありませんでしたから、女性たちは夫が他の女性とセックスして子どもをつくることをがまんさせられてきました。


「子どもが産めない女は一人前じゃない」

「子どものいない夫婦は普通じゃない」 という社会の感覚は、残念ながら今もあまり変わってはいません。


結婚したら 「子どもはまだ?」といわれます。

1人生まれたら「2人目はまだ?」といわれます。 夫は自分が育てる気はまったくないのに、子どもをほしがります。


女性自身も、子どもを産まない、夫と2人だけの家庭生活に自信がもてません。


結婚後何年かたっても子どもができない場合、 今までなら、夫婦2人の生活をつくっていこうと早めに気持ちを切り替えることができました。


しかし、生殖補助医療の発達は、女性たちに新たな出産の強制をもたらしかねません。


2007年、最高裁は、代理出産された子を嫡出子とする依頼人夫妻からの出生届を認めませんでした。


日本の民法では出産した女性が子の母だからです (最高裁 2007: 3. 23 決定)。子どもの法律上の父母が確定されることは、子どもの養育にあたるべき義務を負う人間が確定されることです。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ