とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

離婚後の親権問題

こんにちは。冨樫純です。

 


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。

 


法律的なものです。

 


質問の内容は、主に女性目線からものです。

 


質問

 


兄夫婦が離婚の話合いをしているのですが、3歳の男の子をどちらが引き取るかでもめています。

 


もし、話合いがつかないと、どうなるのでしょうか。

 


解答

 


結婚している間は、父母が共同で子どもの親権をもちますが(民法 818条3項)、離婚後は、まず話合いでどちらか一方を親権者と決めなければなりません (同819条1項)。

 


これを離婚後の単独親権の原則といいますが、父母が別々に暮らす以上、子どもについてもどちらか一方に親権者として責任をもたせようとしたものです。

 


離婚届を提出するときに、未成年の子どもの親権者をいずれかに決めないと、役所では届出を受け付けてくれません。

 


しかし、子どもの数が少なくなって、夫婦だけでなく周りのおとなにとっても、子どもは 「かけがえのない存在」となっているのが普通です。

 


父親としても子どもに愛情をもち、子育てにも積極的に関与している人も増えてきました。

 


このような少子化の時代に、離婚後の単独親権の原則は、子どもをどちらが育てるか決めなければならず、父母は子どもと引き離される不安を感じることになりがちです。

 


子どもの争奪戦は夫婦の争いを子どもに持ち込んで起こることもありますが、「子どもの幸せ」 のために何とか父母が協力できないものでしょうか。

 


子どもの権利条約でも、離婚後の共同養育責任を明記しており、日本でも、離婚後の共同監護·共同親権の法改正が必要になってくるでしょう。

 


父母の間で話合いがつかないときは、家庭裁判所の調停審判で親権者の決定をしてもらうほかありません(民法819条5項)。

 


裁判離婚でも、裁判所は子どもの福祉、子どもの利益の立場から父母の一方を親権者に指定することになります(同819条2項, 人事訴訟法 32条1項)。

 


また、このような親権者の決定とは別に、父母の間で、子どもの身の回りの世話や子育てを担当する監護者を定めることもできます (民法766条1項)。

 


どちらが親権者や監護者となるかは、子どもの福祉や利益のためにどちらがよいかで決まります。

 


しかし、具体的には、父母の側の事情として、子育ての能力(親族の援助や監護補助者も含む)、これまでの子育ての実績、子どもへの愛情、経済力、子どもと接する時間、保育環境、親としての適格性、子どもとの情緒的結びつきなど、そして子どもの事情としては、 年齢、性別、心身の状況、養育環境への適応、子ども自身の意向などが総合的に判断されて決定されています。

 


裁判所では「小さい子どもについては母親に」という、母親の手による養育を重視する傾向がみられます。

 


しかし、母親であることを過大に評価せず、子どもが幸せであるような成育環境を総合的に考えるべきではないでしょうか。

 


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ