とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

不倫で妊娠したら

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問


19歳の私は、妻子ある彼から 「妻と別れて結婚する」といわれてつきあっているうちに、妊娠しました。


ところが、彼はだんだん私を避けるようになり、ついには、まったく会ってもくれなくなったので、中絶しました。


彼は「結婚していることを知ってつきあったのだから、自業自得だ」 といって、取り合ってくれません。 ひどい!


解答


妻子ある男性が若い女性に迫るパターンには、いくつかの類型があります。


まず第1がプレゼント、花束攻勢型で、若い女性の心を高価な物品でくすぐるやり方です。


第2がセクシュアルハラスメント型。


これは、会社の上司が部下の女性に対して、優越的地位を悪用して交際を迫るタイプです。


そして、第3が泣き落とし型で、これは「妻とうまくいっていない。 家に帰っても自分の居場所がない。 結婚に失敗した。人生を君とやりなおしたい」 と同情を引くやり方です。


これら3つの複合タイプもありますが、第3のパターンが多くみられますので、ご用心。


さて、第1のプレゼント、花束攻勢型では、あなた自身も物に目が敗弦んだ不注意があって、しかも、あなたが成人に達して、自分の責任において既婚男性と知りつつ交際ていたとしたら、関係が切れても、不法行為の損害賠償請求は認められにくいかもしれません。


あなたが何にだまされたのかはっきんしませんから、この場合、詐欺を理由とする不法行為の責任を追及することもむずかしいでしょう。


上司であるとか、経営者としての優越的地位を濫用して、弱い立場の女性に性的関係を迫るタイプです。


貞操や性的自己決定権 (人格的利益) を侵害する違法な行為であり、不法行為が成立します。


実際のケースでも、美容院の経営者が独身の美容師に金を貸し付け、その地位を利用して性的関係の反復継続を求めたのは、相手が自発的に関係を承諾したのではなく、弱みにつけこんだ不法行為だと判断されています (名古屋地裁 1992· 12. 16判決)。


泣き落としタイプでは暴力や脅迫などなく、事情を知りつつ同意して関係を結んでいるので、慰謝料請求ができるかどうかは若干問題です。


しかし、実際のケースでは、性的関係を結ぶにいたったのが、男性の「妻とは離婚する」という虚言を信じたためで、男性側に違法性が著しく高い事情がある場合には、不注行為にもとづく慰謝料の請求は認められると判断しています(最高裁1969 - 9 · 26 判決)。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ