とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

親を訴えられるのか?

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問


父はカッとなりやすく、気に入らないことがあると母親や私たち子どもを殴ったり蹴ったりします。


先日、父はつまらない理由で腹を立て、幼い弟をバットでなぐり大けがをさせました。


父の暴力に耐えかねた母も私たちも家を出ましたが、こんなにひどい父を裁判所に訴えることができるでしょうか。


解答


子どもが親を訴えたり、親が子どもを訴えるなどということは許されないというのが1世代前の考えかたでした。


もし、親子の間での不法行為の損害賠償請求や訴訟を認めると、家庭の平和が保たれない、親が臆病になって子どものしつけの責任を果たせないなどと考えられたのでしょう。


アメリカでも多くの州で、親子間の不法行為の損害賠償責任の責任免除の考えかたが認められていました。


日本でも、「法律は家庭に入らず」「親と子は一心同体だ」などという理由で、親子の間で訴えるとか、損害賠償を請求するなんてとんでもないという意識が強かったせいか、子どもが親を訴えた事件はほとんど見当たりませんでした。


夫婦や親子の間で裁判ができないしくみにはなっていませんが、実際には、むずかしかったといえます。


しかし、親と子どもは別個独立の人格であり、けっしてー心同体ではありません。


親が子どもに違法な行為をした場合に原則として不法行為の損害賠償責任が発生しますし、刑事上は犯罪にもなります。


親は絶対で、子どもは親のすることに何の法的責任も追及できないというのはあまりにも古い考えかたです。


たとえば、祖母に預けておいた大切な漫画本など 516冊を捨てられた子ども (孫) が、亡くなった祖母の相続人である母親、伯父伯母の3人を相手に 30万円の損害賠償の請求をし、認められたケースがあります (新潟簡裁 1992·3·4判決)。


また、家出して子どもの監護養育もしない父親に対してさ子どもたちから「肉親と同居して愛情、養育、監護を受けることができず、子どもたちを放置した行為」は不法行為にあたるとして、2人の子どもに50万円すずつの慰謝料を支払うよう命じたケースもあります(大阪高裁 1992.1·30判決)。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ