こんにちは。冨樫純です。
「政治家の2つのモチベーション」についてのコラムを紹介します。
ぼくのイメージでは、ともかく次の選挙で再選されることが第一だと考えるのが、政治家でした。
政党内で出世するというモチベーションも確かにあると思いました。
政治学を学ぶ人の中には、なぜ日本の政治に政党が必要なのかがわからない人もいるだろう。
政党が諸悪の根源のように思える人もいるのではないだろうか。
「腹芸」などといわれる日本の政党の有力な政治家の行動様式は、一般の人々にはわかりにくいし、合理的な説明が不可能に見える。
しかし、今日の政治学では、政党や政治家などの政治的アクターはそれぞれが合理的な判断に基づく行動をしているととらえる理論も影響力を増している。
そのような視点から、最近の政党政治の一場面を説明してみよう。
2000(平成12)年11月、不人気が続いた森喜朗自民党内閣に対して、当時、同党の有力政治家だった加藤紘一の率いる派閥が野党と共に内閣不信任案を突き付けようとした。
この時、自民党執行部は加藤派の国会議員に揺さぶりをかけ、その結果、多くの派閥メンバーが加藤についていかず、「加藤の乱」はあえなくつぶれたのである。
このことは、政治評論家の解説では、個々の政治家の個別の事情や感情で説明されることが多い。
しかし、ここでも合理的説明が可能である。
政治家の中には、自分のいる政党の中で出世をしたいという 「昇進モチベーション(動機)」を強くもつ政治家と、政治家でいるためにはともかく次の選挙で再選されることが第一だと考える「再選モチペーションを強くもつ政治家がいるという。
加藤のようなペテランの政治家は、選挙での落選の心配はないので再選モチペーションは低く、自民党内で総裁になって首相に選ばれることをめざしており、昇進モチペーションが高い。
だが、 加藤の自民党改革の主張を支持した多くの若手議員は、当選1回や2回の弱い立場の議員で、まず選挙で再選されることが第一目標で、再選モチベーションが高かったはずである。
加藤を支持する若手は、彼が自民党を割って出れば、彼とともに新党をつくって次の選挙を戦い、新党の斬新なイメージで再選されると予想しただろう。
しかし、加藤は自己の昇進モチベーションのために、自民党から離れると総理になりにくいと考えて自民党にとどまった。
ところが、加藤についていこうとしていた若手にとっては、加藤が自民党にとどまるならば、自分たちは次の選挙では何としてでも自民党執行部から公認をもらい、自民党議員として戦うしかなかった。
再選モチベーシが高い加藤派の若手議員には、自民党執行部から公認をもらうために加藤を裏切って、自民党執行部の言うなりになるしか道はなくなったのである。
下記の本を参考にしました