とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

アリストテレスの政体論

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、政治学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


政体論

 


ギリシアの諸ポリスは統一されることがなく、それぞれの国制(ポリテイア)を発展させた。

 


さながら古代ギリシアは、多様な国制の実験場のようであった。

 


この場合、国制とは多様な内容を含む概念である。 財を各人の価値に応じてどのように配分するか (アリストテレスはこれを配分的正義と呼び、加害に対する弁償と現状復帰としての矯正的正義と区別した)。

 


公民の範囲をいかに定め、権限のあり方や人事の決定の仕方をどう規定するか。 これらを決定する、広い意味での、その国の根本原理や制度こそが国制である。

 


アリストテレスはこれら諸国制の分類を試みたが、形式面では、支配者の数と統治内容の是非を組み合わせて6政体論を提示している。

 


一人の支配で公共の利益にかなう政体は王政、かなわない政体は僭主政、少数者の支配で公共の利益にかなう政体は貴族政、かなわない政体は寡頭政、多数者の支配で公共の利益にかなう政体は「国制」 かなわない政体は民主政である。

 


ちょっと紛らわしいのは、一般的な概念である「国制」を同時に、多数者支配の中で公共の利益にかなう政体を指すものとして使っている点である。

 


王政と貴族政は徳ある一人もしくは少数の人物に権力を与える政体であるが、実際にはなかなか難しい。

 


むしろ少数の金持ちによる支配である寡頭政 (その閉鎖性ゆえに崩壊)や、多数の貧者による民主政 (貧富の拡大により崩壊) が当時のギリシアでも一般的であった。

 


一人の支配でも、他より優れているどころかむしろ劣ったものが、自分の利益のために他を恣意的に支配する最悪の僭主政すらありえた。

 


となると、 アリストテレスが現実に可能な範囲で最善と考えたのは 「国制」 である。

 


この場合の 「国制」とは、寡頭政と民主政を混

合したものであるとされる。

 


言い換えれば、富者と貧者の対立を調停することに主眼を置いた政体であり、選挙と抽選を併用することが説かれた。

 


また、支配と服従の両方を経験した中間階層の役割が重要とされ、この 「中間階層の厚さが政治体制の安定の鍵」 という知見は、以後の政治学の常識となっていく。

 


感想

 


富者と貧者の対立を調停することに主眼を置いた政体であり、選挙と抽選を併用することが、アリストテレスの提案だとすると、賛成です。

 


特に現代は格差社会なので、その対立を調停することに主眼を置くというところに賛同します。

 


下記の本を参考にしました

 


『西洋政治思想史』

 宇野 重規著

 有斐閣アルマ

 

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