とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

「伝えきれない世界」は残る

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


いずれにせよ「伝えきれない世界」が残る

 


ジンメルにとって「秘密」とはどんな意味をもつ態度の取り方なのだろう。

 


ここでちょっとまとめてみたい。

 


彼が「秘密」という言葉で意味していることは、実はかなりの守備範囲を覆っている。もちろん「秘密」とは直接的には相手が知りたい情報、知ろうとしている情報をこちら側が意図的に隠していることを意味する。

 


しかし「秘密」ということでいおうとしていることは、たんに情報の意図的「隠蔽」という事態にとどまらない。

 


むしろコミュニケーションにおいて何かが伝えられることの背後には必ずある〈伝わらないと〉、あるいは〈伝えられないこと〉、そして〈伝えたくないこと〉が残るということをも意味する。

 


そのことをいま、私なりの例で考えてみよう。

 


親しい友人と映画を見に行ったとする。

 


もちろん満足がいく内容を期待していたから見に行っわけだが、その期待以上にその映画がすばらしいものだったとする。

 


やがて映画が終わり二人して帰りに喫茶店にでも寄ろうということになる。

 


さて、そうしたときに自分の感激や感動をそのままのかたちでしかもすぐに相手に伝えることができるだろうか。

 


親しい友人だし、別に気兼ねもいらない、しかもいっしょにその映画を見ているわけだからストーリーなどの説明などにもあまり神経をつかう必要もない。

 


しかし、ふつうはそう簡単に言葉が次から次へと出てはこないのではないだろうか。とにかく自分の内面に起こっていることをありのままに正確に表現し、かつ他者にそのままに伝えるということは不可能なのだ。

 


だからたとえば、そのときの喫茶店での会話は感動が深ければ深いほど「(あの映画)なかなかよかったね」「うん、そうだね」といった程度のやり取りで終わってしまうこともありうるわけだ(もちろんもっと饒舌にいろいろな感想を述べ合うこともありうるだろう)。

 


しかしそれにしたって、自分の内面そのものを表現し、かつ相手にそのまま伝えきることなどは不可能だということだ。

 


「秘密」ということでジンメルがいおうとしているところの核〉を、私なりに取り出して表現すれば、どんな誠実なコミュニケーションであっても必ず〈情報の選択〉がなされており、また、〈伝えきれない事柄や思い〉が残るのであり、そのことがまさに人間の関係のあり方を本質的に支えているということである。

 


感想

 


一般的に秘密は、意図的に隠すことを意味していると思いますが、人間どうしのコミニケーションであるかぎり、秘密は避けては通れない道のようです。

 

 

 

下記の本を参考にしました 

 


ジンメル・つながりの哲学 』

   菅野 仁

   NHKブックス