とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

「信頼」の重要性

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


不確かさを前提とした人間関係の距離

 


「秘密」は、人間の「人格」がどれほど関わっているかという観点からみて異なる性質を帯びる人間関係のそれぞれにおいて、その特徴を微妙に変えながら、しかしそのつど重要な意味をもつことが指摘される。

 


そして実はそのそれぞれが近代を生きる人間にとって本質的な意味をもつ関係の分析となっている。

 


ジンメルは大きくいって近代以降の人間関係の性質を、人格的距離の遠近にもとづいて大きく三つに分けて分析を加えている。

 


まず最初に検討される人間関係のタイプは、人格的要素がほとんど問題にならないような関係、つまり近代になってますます支配的となる「目的結合」である。

 


これは、一定の明確な合理的な目的のために関係を作る機能的な集団のことだ。そこでは成員の「総体的人格」は全く問題とされることはなく、「もっぱら一定の仕事の担い手」としての側面のみが問題となる。

 


その目的のために関係を作る「もっぱら一定の仕事の担い手」としての側面のみが問題となる。

 


そのような機能的集団においてあるいはそうした機能的な関係が幾重にも折り重なってできている近代社会全体において、「信頼」という心性が「全く特別の進化」をとげ、きわめて重要な「社会的結合力」としての意味を帯びてくる。

 


「信頼」とは何か? それは「実際の行動の基礎となるほど充分に確実な将来の行動の仮説として、まさに仮説として人間についての既知と未知との間の中間状態」なのである。

 


つまり「完全に知っているものは信頼する必要はないであろうし、完全に知らないものは合理的には信頼することができない」わけなのだ。

 


近代社会において機能的な関係が進めば進むほど人間の生活は、不確かさを前提とした人関係に依存せざるをえなくなる。

 


ときどき「飛行機には絶対乗りたくない」と語る人がいる。「あんな巨大な鉄の固まりが空を飛ぶなんてことはとても信じられない」という。

 


たしかにいわれてみると、あんな巨大な鉄の固まりがどういう原理と条件のもとで空中を飛ぶことができるかについて、きちんと正確な説明ができるという人はごく少数だろう。

 


しかしたいていの人は巨大なジャンボ機が無事滑走路から飛び立つこと、何よりプロである以上、パイロットが私たち乗客を無事安全に目的地まで運んでくれることについて、漠然と「信頼」を寄せている。

 


飛行機が無事目的地につくためには、パイロットに限らず、さまざまな複雑な装置を自在に操るスタッフたちの専門知識と業務に対する専心性が要求されているだろうことは、私たちは何となくわかっている。

 


しかし、いちいち細かい技術的な事柄は私たち素人が把握できることではない。そして彼らの人柄や仕事に従事しているときの精神状態もまた、私たち利用者には把握できるものではない。

 


私たちは、専門家としての彼らの知識、能力、経験や彼らの専門的仕事を支えるシステムを「信頼」するほかはない。

 


私がいま取り上げた例のように、意図的な隠蔽ではなくても、完全なかたちで知識や情報として伝えきれない内容も、ジンメルにとっては「秘密」の範疇に入るのだ。

 


十分には伝えきれない事実というものがどうしても残り、それが実は私たちの近代的生活の根拠を支えている。

 


私たちは〈不確かさ〉の上に複雑に連関する専門分したシステム(そのメカニズムの詳細はほとんど私たち生活者の立場からは「秘密」の位置におかれている)への「信頼」がなければ、私たちは一日たりとも生活できない状態に置かれている。

 


この事実は、言い換えれば、私たちの「主体的な」生活は、人格的な関わりのない多くの人びとの行為に依存することによってはじめて可能になっているということでもある。

 


主にそれぞれの職業というかたちで、専門的行為を多くの人びとが誠実に遂行してくれることへの「信頼」が私たちの日常生活を支えている。

 


感想

 


身の回りのことを全部理解することは大変なことだと改めて思いました。

 


そのために「信頼」が重要で、必要から生まれて

来たように感じました。

 


下記の本を参考にしました 

 


ジンメル・つながりの哲学 』

   菅野 仁

   NHKブックス