とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

介護は女性が担うべきか

こんにちは。冨樫純です。

 


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。

 


法律的なものです。

 


質問の内容は、主に女性目線からものです。

 


質問

 


母はずっと勤めていましたが、同居していた祖父が寝たきりになったので会社をやめて家で介護することになりました。

 


私もできる限り手伝うようにしてますが、父は仕事優先で母にまかせっきり。

 


女性に老親の介護を押しつけるのはずるい!

 


解答

 


日本では老親が要介護状態になったときには在宅介護するのが一般的です。

 


ところが,そうした介護労働の多くは、実際には妻、娘、嫁などの女性が担っています。

 


専業主婦の場合はもちろんのこと、夫婦共稼ぎの場合でも、女性のほうが会社をやめて介護労働に従事することがあたかも当然のこととされているのです。

 


しかし、親の介護が必要となったときに、どうして女性のほうが会社をやめなければならないのか、また専業主婦の場合でもどうして女性ばかりに介護労働が押しつけられるのでしょうか。

 


こうした不公平な結果を生む原因の1つは、働き続けながら介護を行うことのできる介護休業制度が十分に整えられていないことにあります。

 


もし、介護休業制度が社会システムとして十分に整備されているなら、夫婦共稼ぎの場合でも、どちらかー方が会社をやめる必要はありませんし、また女性にばかり親の介護を押しつけないで、男性も会社を休んで介護できるはずです。

 


ところが、現実の社会はそうなっていません。

 


介護休業制度を設けている企業は非常に少なく、その結果、労働者(その多くは女性)の多くが介護のために会社をやめざるをえない状態となっていました。

 


介護休業制度に関する社会的要請が高まる中で、1995年にようやく介護休業法がつくられ、99年4月からは 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」 (以下育児·介護休業法)となりました。

 


そして、2004年と2009年に改正されて現在にいたっています。

 


育児休業の場合と同様に、使用者に対して介護休業を請求できるのは男女を問いません。 パートなどの有期契約で働動いている場合で、雇用期間が1年以上で、介護休業を開始してから 93日を超えて引き続き雇用されると見込まれる場合には、介護休業を請求することができます (育児 介護休業法 1条)。

 


また、介護できる人が他にいる場合でも(たとえば、妻)、労働者本人 (夫) も介護休業を請求することができます。

 


もっぱら特定の人に介護を押しつけることのないように配慮したものです。したがって、たとえば夫婦共働きの場合に、まず妻が介護休業をとった後に夫がそれに代わって介護休業をとったり、同じ時期に一緒に介護休業をとることもできます。

 


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ