とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

子どもの奪い合い

こんにちは。冨樫純です。

 


「子どもの奪い合い」についてのコラムを紹介します。

 


子どもの奪い合いがある事実にまず驚き、国際的な条約まであることにさらに驚きました。

 


家庭裁判所での子どもの監護に関する処分事件は、2010年には3万4913件にまで増えて、1999年の2倍以上となり、親権者の指定変更事件は2010年には1万844件となっています。

 


また、人身保護請求事件も、2010 年に地方裁判所で149件が受理されていますが、そのうちの大半が子どもの奪い合いに関するものでした。

 


子どもの奪い合いが増えてきた背景には、未成年の子どもをもつ夫婦の離婚が増えてきたこと、出生率が低下し、子どもが「かけがえのない存在」となっていること、子どもをどちらが引き取るかのルールが多様化してきたこと、現行法が離婚後の単独親権の原則をとり、離婚後は父母の一方を親権者と定めなければならないなどの事情があります。

 


実力で子どもを奪取する事態になってしまった場合、親権者である親は子どもを連れ去った非親権者である相手方に対して親権に基づいて子どもの引渡請求をすることができますし、子どもの釈放を求めて簡易迅速かつ強力な人身保護請求を求めることも可能です。

 


しかし、通常の裁判所での審理よりも子どもの監護に関する処分事件として、家庭裁判所に子どもの引渡しを求める方法がよいでしょう。

 


つまり、家庭裁判所は、人間関係の調整と法的判断とを兼ね備えた家庭紛争の専門的処理機構であり、家庭裁判所調査官という子どもの間題のエキスパートをそろえているからです。

 


したがって、緊急を要するときは、審判前の仮の処分として子どもの引渡しを請求することもできるのです。

 


子どもの奪い合いの解決基準は、どちらと暮らすのが「子どもの幸せ」 になるかですが、双方の子どもへの愛情、監護養育能力·経済力、居住環境や子どもの意向、情緒の安定などの諸事情を検討して, 慎重に判断することになります。

 


国境を越えた子の連れ去り事件も増えてきており、日本でも国際的な子の連れ去りの民事面に関する条約 (ハーグ条約) に加盟する方向で、 検討が進められています。

 


ハーグ条約は、国境を越えた子どもの不当な連れ去りがあった場合に子を元の居住国に迅速に返還することを目的とするものです。

 


欧米諸国を中心に世界で86ヵ国が加盟しており、この条約は子の迅速な返還のための国際的な民事可法協力を促進しようとするものです。

 


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ