こんにちは。冨樫純です。
「『家裁の人』と「家裁の人」」についてのコラムを紹介します。
裁判官だけではなく、検事や弁護士もテレビドラマになることはありますが、鵜呑みにせず、現実を意識することが大事だと思いました。
漫画『家栽の人』の主人公、桑田判事は、家庭裁
判所の裁判官である。
桑田判事は、植物を愛し、その育成に豊富な知識経験を有する趣味人である。
一方、事件処理においても常に犯罪少年や家事事
件当事者の立場に立ち、人間味あふれた判断をし
ながら、処理事件数も他の裁判官を上回るという
スーパーマンである。
また、高等裁判所長官という超エリートの父親をもちながら、自らは地方の家庭裁判所・支部を回り、最高裁判所調査官という出世コースも蹴ってしまう。
その物語が漫画で大ヒットした後、テレビドラマなどでも圧倒的な支持を得たのは、まさに国民が求める理想の裁判官像が桑田判事の中に見出されたからであろう。
しかし、現実の「家裁の人」は、決して桑田判事のようにはいかず、むしろ多くの裁判官は、時間・余裕のなさに汲々としながら、日々多数の事件を処理しているのではなかろうか。
裁判手続は、スーパーマンたる裁判官を前提にしなければ、運営できないようなものであってはならないはずである。
当たり前の「家裁の人」が行っても、桑田判事のような裁判ができるような制度を構築する必要があろう。
また、桑田判事が断ったように、最高裁判所には家事事件を専門に扱う調査官ポストは存在しないようであるし、また高等裁判所にも家庭裁判所からの抗告事件を扱う専門部はないため、家事事件のスペシャリストとして、裁判官が出世する道はせまい。
出世を潔しとしない桑田判事の生き様は尊敬に値
するが、やはり普通の裁判官を前提として「家裁の人」を育成するには、このような人事システムの問題にも取り組む必要があろう。
下記の本を参考にしました
『現代の裁判』第6版
市川 正人 他2名
有斐閣アルマ