とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

面会交流権とは

こんにちは。冨樫純です。

 


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。

 


法律的なものです。

 


質問の内容は、主に女性目線からものです。

 


質問

 


姉が離婚。1人息子の親権者は元夫に。

 


これから姉は子どもに会ったり、連絡をとったりすることもできないのでしょうか。

 


解答

 


離婚によって親権者とならなかった親も、直接子どもと会ったり、文通をしたり電話をかけたり、また、学校の休みのときにいっしょに旅行に出かけるなどして、定期的に交流をはかることが認められます。

 


欧米の諸国では、こうした面会交流権に関する明文の規定をおいていますが、わが国では規定がなかったため、いろいろと議論がありました。

 


離婚後親権者とならなかった実母が5歳の男の子の面会交流を求めたケースで、東京家庭裁判所は、「親権または監護権を有しない親は、未成熟の子と面接ないし交渉する権利を有し、この権利は未成熟子の福祉を害することがない限り制限または奪われることはない」と説いて、はじめて面会交流権を認めました(東京家裁 1964· 12· 14審判)。

 


学説の中には、子どもを育てている親のほうの反対にもかかわらず、面会交流を命ずることは、子の精神的ストレスを引き起こし、心身の安定に有害であるとする否定的な立場もあります。

 


子どもにとって、離婚後も父母その他の家族との接触や交流を続けることが望ましく、人間関係や愛情、相互的交流が親の離婚で完全に切断されることは好ましくありません。

 


離婚のときに親権者とならなかった親も、まったくの無権利者ではなく、親権者に子育てができない事情が発生すれば、父 (母) として子どもの養育を引き継ぐ可能性は大です。

 


そのため、親として最低限度の接触や交流は続けるべきでしょう。

 


このような面会交流権を親として当然の権利だとみる見方と、親との交流をとおして成長、発達するのに必要な子ども自身の権利とみる立場があります。

 


裁判所では、子どもの監護に関する処分として、家庭裁判所が後見的に具体的方法、場所、回数などを子どもの福祉という観点から定められると肯定しています (最高裁1984·7.6決定, 最高裁 2000 5.1決定)。

 


2011年5月の民法の一部改正により、面会交流についての明文の規定が入りました。

 


欧米では祖父母にまで面会交流権を認めているところもあり、離婚によって、子どものもっていた人間関係や愛情のつながりが切れるのではなく、子どもの利益になるのであれば、継続させていこうという配慮があるようです。

 


ですから、あなたのお姉さんの場合も、面会交流は親としての子どもに対する最低限の義務のような感じさえします。

 


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ