こんにちは。冨樫純です。
「日本での首相公選論」についてのコラムを紹介します。
中曽根さんの時代には既に、議論されていたことに驚きました。
ここ数年、首相公選論が政界で議論されるようになってきた。
首相就任以前から首相公選制を持論としていた小泉純一郎首相は、就任後「首相公選制を考える懇談会」を設けて、その具体的検討を要請した。
民主党の鳩山由起夫 (前) 代表は、国のトップをだれが選ぶのかということで、これまでは一つの最大政党の最派閥から出る首相が常識だったが、それだと国民は納得しない。
自分たちが選んだ首相だから日本を真剣に支えようという気持ちに国民がならない。
そこは首相にもっと強い権限を与えて迅速な意思決定をできる体制を作るためにも、国民に首相を直接選ばせた方が良いと思うと述べている (1999年12月25日付「『朝日新聞』)。
2002 (平成14)年に懇談会が提出した報告書には、憲法改正を前提とする二つの公選制案と改正をともなわずにすむ案の、計3案が書き込まれた。
国会議員の中でも公選制を支持する者は多い。
実は、首相公選論の歴史は古い。
それを最初に政治の場で強く主張したのが、中曽根康弘元首相である。
1953 (昭和28) 年夏、ハーバード大学の夏季国際政治セミナーに参加した中曽根は、現在の日本においては、総選挙は頻発し、政党は党略に奔走し、その結果、伝統的な官僚主義が横行し、政治は彼らの実権の中にある。
それらの弱点を克服するため、私は首相公選を唱導すると発表し、以後、憲法を改正して首相公選制を実現する政治活動を進めていった。
『正論』2000 (平成12) 年7月号の「編集長インタビュー」で中曽根は、「首相公選制は必ずよみがえる」として「(首相公選制は)間違っていない。
これは主権在民意識を呼び起こします。
切り花民主主義ではない、自分の根っこを持った民主主義をつくろうという意味が基本にありますと論じている。
中曽根、老いてまだまだ盛んという感がする。
中曽根は、首相公選論の夢を語ってきただけではない。
彼は自らが首相の座にあたときに、「大統領的首相を目指す」として、日本における首相のイメージを大きく変えようとも試みたのである。
2002年の報告書でも、首相を国民から直接選出することで民主的正統性を高め、ひいては首相のリーダーシップの強化を展望している。
このような議論の背景には、日本の内閣総理大臣にリーダーシップが欠けているとの認識がある。
一般に日本の首相のリーダーシップは弱く、受動的なリーダーであると考えられる。
そこから首相公選制論が生まれてくることにもなったのである。
下記の本を参考にしました
『政治学』補訂版
(NewLiberalArtsSelection)
久米 郁男 他2名
有斐閣