こんにちは。冨樫純です。
「アメリカの大統領」についてのコラムを紹介します。
大統領制と一口に言っても、さまざまな形態があることを学びました。
アメリカの大統領選挙が大々的に報道されるので、大統領制といえばアメリカというイメージをすり込まれたのかもしれません。
アメリカ合衆国の大統領は、副大統領とともに、間接選挙で選ばれる仕組みになっている。
すなわち、各州民の一般投票によって、その州か
ら選挙される上下両院の議員の総数と同数の選挙人が選出され、それらの大統領選挙人団が投票して大統領を選出するのである。
民主党・共和党の二大政党制が確立してからは、選挙人は政党別に指名される結果、各州民が行う一般投票は、事実上、どちらの政党が決定した大統領候補を支持するかの決断になる。
そして各州での選挙で1票でも多く得票した政党が、その州の選挙人全部を独占する仕組みとなっている。
大統領の任期は4年であり、再選はできるが、3選はできない。
大統領や各省の長官など、内閣の構成メンバーは、連邦議会の議員と兼職できない。
大統領は、年頭教書などを議会で発表するとき以外は議会に顔を出すことはほとんどなく、副大統領が上院議長になることになっているほかは、議会と執行府(内閣)との人的結びつきはほとんどないといってよい。
こうした統治のしくみを「大統領制」(presidential system)と呼ぶのがならわしであるが、フランスやドイツのように「議院内閣制」
(parliamental system of government)をとっている国々の中にも、首相のほかに「大統領」が置かれている国が相当数ある。
イタリア、ロシア、韓国などの場合も同様である。しかしこうした国々では、国の元首である点では共通しているが、大統領の選びかたもその地位や権限・任期もさまざまであり、アメリカの大統領とはかなり違っている。
たとえばフランスの共和国大統領は、ドイツやイタリアなどの場合とも異なり、国民の直接選挙で選ばれ、任期は5年で非常に強い執行権限を持っている(再任も禁止されていない)ことから、「半大統領制」(Semi-presidential system)と呼ばれている。
連邦議会議員等によって間接選挙で選ばれるドイツの連邦大統領は、国際法上連邦を代表し外国と条約を締結するなどの権限をもってはいるものの、政治の実権は連邦議会上で選出される連邦首相が有しており、連邦大統領はどちらかといえば日本の天皇に近い地位といえよう。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい憲法入門 』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ