こんにちは。冨樫純です。
倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
「理性的思考の義務付け」 戦略
ビル・ゲイツは、よく知られているように、マイクロソフト社の初代会長であり、10年あまりにわたって世界一の富豪であった人物だ。
彼とその妻メリンダは、ゲイツ財団を作り、エイズのようにメディアに取り上げられやすい病気だけでなく、マラリア、赤痢などの地味であるが毎年多くの人々の命を奪っている予防可能な感染症の対策に力を入れていることで知られている。
ゲイツ夫妻は、寄付先を決めるさい、「どの問題が、最も多くの人々に影響を及ぼしているか」、「過去に無視されてきた問題は何か」という二つの原則に従っているという。
この二人はこの原則に厳格に従うことで、たとえば人目につきやすく人々の共感を得やすい米国がん協会のような団体ではなく、マラリアや結核など、費用対効果が最も見込めるところに寄付をしているとされる。
このように、二人は共感に基づく直観的思考を極力排除して、合理的思考で寄付先を決めていると言える。
このような徹底した合理的思考が可能なのは、単にゲイツ夫妻が指折りの大富豪であるというだけではなく、小さなころからコンピュータ・プログラミングに打ち込んできたビル・ゲイツが、人一倍数学的思考に長けていることのおかげかもしれな米国のある評論家が次のように述べている。
「われわれは大きな数字を見ると無関心になる。ゲイツは大きな数字を見て、次のような道徳的な計算を行なうのだ。回避可能な死=悪い。回避可能な死× 一〇〇万人=一〇〇万倍悪い」。
ビル・ゲイツがこの通りに考え、二つの原則を功利原理から導かれる二次的規則として用いているとすると、彼は現代の模範的な功利主義者だと言えよう。
しかし、この戦略にもいくつかの問題がある。
まず、道徳における合理的思考を 発達させるためにどのような教育を施せばよいのかについて検討する必要がある。
また、教育すれば誰もがこのような思考を身に付けられるのかも問題になる。
感想
ゲイツ夫妻は、寄付先を決めるさい、「どの問題が、最も多くの人々に影響を及ぼしているか」、「過去に無視されてきた問題は何か」という二つの原則に従っている、という箇所が感心させられました。
下記の本を參考にしました
『功利主義入門』
児玉聡