こんにちは。冨樫純です。
独学で、倫理学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
倫理の問題のバリエーション
倫理とは、 そして倫理の問題とは何なのでしょうか。
あらためてそのことにアプローチするために、ここでは、いったいどんなときに、倫理の問題が生じるのかを考えてみたいと思います。
たとえば、フットとヘアの議論からは、自分たちにとって大事なものを守るためにはどうしたらいいか、これから先、自分たちは何を大事だと考え、どのように変わっていけばいいか、などの問いのタイプがあるということが示唆されました。
他には、スキャンロンは「どうしてそうするの」 「なぜそう考えるの」と理由を問うところから、倫理の問題は始まるとしていますし、もっとシンプルに「これから何をしようか」という問いが、倫理の問題のスタート地点だと述べる論者もいます。
倫理の問題は、他の仕方でもいくつかのタイプに分けることができると言われます。
たとえば、『倫理学原理』という重厚な著作を執筆し、メタ倫理学の創始者とも言われるイギリスの哲学者、 G.E.ムーアは、倫理の問いは三つに分かれると言います。
すなわち、「良いとは何か」「どれが良いものか」「良いものはどうすれば増えるか」の三つです。
たとえば、第一の「良いとは何か」は、「そもそも良いとはどういう意味か」「何かを良いと言うことは何を表そうとしているのか」などの形でも問われるもので、「良い」などの規範的な言葉の用法や特徴を考える問いです。
第二の「どれが良いものか」は、様々な事物について、第一の問いで答えられたような「良さ」をもっているものは何だろうか、私たちにとって本当に良いものは何だろうかと考える問いです。
ムーア自身は、この問いに対して、幸福や美、友情などを挙げています。
第三の「良いものはどうすれば増えるか」は、第二の問いで答えとして挙げられたものを実際に現実社会で増やすにはどうしたらいいかと考えるものです。
たとえば幸福を増やすためには、個人の日々の心がけから教育、制度作りまで様々なものを考慮する必要がありそうです。
ムーアの分類は明快ですが、「良い」とは何かが分かれば、後は自動的に良いものを増やば、良いものを増やすところまで進むだろうという想定が透けて見えます。
感想
倫理の問題には、自分たちにとって大事なものを守るためにはどうしたらいいか、これから先、自分たちは何を大事だと考え、どのように変わっていけばいいか、などの問いのタイプがある、という箇所が説得力があると思いました。
大事なことや守りたいものを議論の出発点にするのです。
下記の本を参考にしました
『「倫理の問題」とはなにか』
メタ倫理学から考える
佐藤岳詩著