とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

親を殺すことはやはり許されないのか

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、憲法を学んでいます

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


尊属殺重罰規定は違憲

 


最高裁判所は、宇都宮市で起こったショッキングな事件に対する1973(昭和48)年4月4日の判決の中で、次のような趣旨のことを述べました。

 


つまり、子どもはふつうは親 (などの直系尊属)に育てられて成人するのだし、親は社会的にも子どものことで責任を負っているのだから、自分を育ててくれた親を敬い、その恩に報いることは、社会生活上の基本的な道義であって、そうした自然の情愛とか普遍的な倫理を維持することは、刑法上の保護に値するから、あえて親殺しという行為をしでかした者の背倫理性は特に重い法律上の非難に値する。

 


そうなると、普通の殺人とは別に尊属殺人という特別の罪を設けて、その刑を重くすることは、それ自体としては必ずしも問題ではない。

 


ただ、当時の刑法200条の規定は、重罰の程度があまりにも極端で、上に述べたような立法目的を達成するための手段として、著しくアンバランスであり、これを正当化できる根拠はない、と結論づけたのです。

 


たしかに、この判決のもとになった事件では、殺された被害者(父親)は、実の娘に5人も子どもを産ませた挙げ句に、好きな人と結婚したいという娘の気持ちをまったく無視した余りにもヒドイ父親で、裁判所としても、被告人 (娘) に大いに同情すべき点があると考えたのだと思われます。

 


それでも、れっきとした親殺しに違いはないのですから、 本来なら、刑法200条を適用するほかはなかったはずです。

 


ところが、上にも説明したように、普通の殺人なら、こういう事例のように被告人に同情すべき事情(「情状」といいます) があるときは、執行猶予をつけることができるのですが、刑法200条を適用する限り、どうしても実刑判決になってしまう。

 


でも、いくら何でもこの娘に実刑判決を下すには忍びない。 そこで最高裁判所は、尊属殺をとくに重く罰する刑法200条が、普通の殺人の規定 (199条)に比べて 「著しく不合理な差別的取扱いをするもの」だと判断し、憲法14条に違反すると結論づけたわけです。

 


では、結局この被告人はどういう刑罰になったかというと、刑法199条の普通の殺人罪の規定が適用されて、懲役2年6月執行猶予3年ということになりました。

 


感想

 


子どもはふつうは親 に育てられて成人するのだし、親は社会的にも子どものことで責任を負っているのだから、自分を育ててくれた親を敬い、その恩に報いることは、社会生活上の基本的な道義であって、そうした自然の情愛とか普遍的な倫理を維持することは、刑法上の保護に値するから、あえて親殺しという行為をしでかした者の背倫理性は特に重い法律上の非難に値する、という箇所がおもしろいと思いました。

 


親は敬う対象であり、その親を殺すことは重罪と解釈するのです。

 


下記の本を参考にしました

 


『いちばんやさしい 憲法入門』

 初宿 正典 他2名

 有斐閣アルマ

 

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