こんにちは。冨樫純です。
独学で、憲法を学んでいます
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
むかし、尊属殺人罪ありき
わが国の刑法は、もともと1907(明治40)年に制定されたもので、1995(平成7)年5月12日になって、ようやく古い文体が全面的に修正され、ひらがな書きで句読点や濁点も付いたわかりやすい文章になりましたが、それまでの刑法には、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」 という殺人罪の規定 (199条) の他に、左下のような親殺し重罰の規定 (200条)がありました。
普通の殺人罪の規定はそれほど難しい文章ではありません。
人殺しをすると、死刑か無期懲役、あるいは5年以上の懲役になるということです。
ところが、自分や配偶者(夫・妻)の「直系尊属」
を殺したときの刑罰は、「死刑」か「無期懲役」となっていて普通の殺人の時よりも刑罰がずいぶん重かったことがわかります。
本題に入る前に、この条文のことばの意味を少し説明しておきましょう。
(1) 「直系尊属」 って何だ?
まず「尊属」 というのは、自分と血縁関係にある人のうちで、自分よりも上の世代にある人の総称で、その反対語は「卑属」 です。
そして、 「尊属」のうち自分の両親や祖父母、曾祖父母のように、自分からみて同一の親系にある尊属が 「直系尊属」 です。
ですから叔父とか伯母などはこれには含まれませんが、「配偶者」の直系尊属を殺した場合(たとえば、夫が妻の父親を殺したような場合) にもこの条文が適用されたわけで、実際にも 「嫁」が 「姑」を殺したというような事件も数多くあります。
(2) 親殺しはいつでも死刑か無期懲役?
次に、規定の上では「死刑又ハ無期懲役」 となっていても、実際の親殺しについては、どんな場合でもこの条文のとおりに死刑か無期懲役になったわけではなく、 刑法に決められている 《刑の減軽》 のルールが適用されることがほとんどでした。
統計では、親殺しの罪で死刑の判決が確定した事件は全体の1%未満のようです (この《刑の減軽》のルールについては刑法66条~72条に詳しく定められています)。
ここで重要なことは、被告人が親殺しをするにいたった事情がどんなに同情に値するものであっても、この刑の減軽のルールを使う限り、最低「懲役「3年6ヵ月」の期間は、実際に監獄に入って懲役に服さなければならなかった(「実刑」といいます) という点です。
それは、懲役刑を宣告する際に「執行猶予」という形だけの刑罰にするためには、宣告する懲役刑は「3年以下」でなくてはならない (刑法25条) のですが、尊属殺人罪の場合にはどうしても 「3年6ヵ月」 より刑を軽くすることはできなかったからです。
感想
なぜ家族を殺すと罪が重くなるのか疑問に思いました。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい 憲法入門』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ