とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

少年法とは

こんにちは。冨樫純です。

 


「少年犯罪と少年法 」についてのコラムを紹介します。

 


個人的には、犯罪は犯罪なので、少年であっても刑法で扱うべきだと思います。

 


少年法は、罪を犯した少年(20 歳未満の者、少年

法2条)について、その健全な育成と保護の理念(同法1条)に基づき、原則として、刑罰ではなく、非公開の少年審判(同法 22 条)と保護処分で対処する。

 


家庭裁判所が刑事処分(=刑罰)相当と判断して逆送し(同法20条)、公判廷で刑事裁判に付される少年についても、少年審判の場合と同じく記事等の掲載に対する規制があり(同法61条)、また、科すべき刑罰を成人より緩和する扱いがある(同法51条以下)。

 


少年が罪にあたる行為をしたかどうかに争いがある場合(たとえば捜査官の取調べに対し自白していた少年が審判の場で否認に転じたときなど)、この非行事実の認定をめぐって以前から問題点が指摘されていた。

 


少年法は、刑事裁判手続のような当事者追行主義ではなく、家庭裁判所の裁判官が職権で事実を調べるという方式をとる。

 


非行事実の存否自体が争いとなる場合には、裁判官に中立の判断者としての活動を超えた負担がかかり、ひいては、正確な事実の認定や適正な手続の保障の面で不都合が生ずるおそれもないとはいえない。

 


そこでこのような場合には、非行事実の認定手続に検察官を関与させ(同法22条の 2)、他方、少年には必ず弁護士の付添人をつけ(同法22条の3)、裁判官を中立の立場におくとともに、事実認定に慎重を期するため、合議体での審判を可能とする(裁判所法 31 条の 4)などの法改正が実現した。

 


2000(平成12)年に成立したこの少年法改正には、このほかに、近時の少年犯罪の凶悪化・低年齢化に対処するとの観点から、従来、送致のとき 16歳以上に限定されていた刑事処分可能年齢を14歳以上に引き下げ(少年法20条1項,刑法 41 条)、また、犯行のとき16歳以上の少年が故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件については、原則として刑事裁判手続に乗せるための逆送決定をする旨の規定が盛り込まれた。

 


ただし、家庭裁判所は、個々の少年の特性や事件の事情を勘案して、刑事処分ではなく保護処分等の措置を選択することもできる(少年法20条2項)。

 


少年法は、①罪を犯した14歳以上の少年(犯罪少年)に加えて、②刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年(触法少年)、③家出癖・不良交友などの事由があり将来罪を犯すおそれのある少年(虞犯少年)を家庭裁判所の審判に付すこととしている(同法3条)。

 


家庭裁判所の審判の結果、このような非行事実が認められる少年に対しては、少年院送致、保護観察、児童自立支援施設児童養護施設送致の中からふさわしい保護処分が選択される。

 


このうち犯罪少年の事件は、成人の事件と同様に、警察や検察による捜査が行われるが、触法少年虞犯少年の事件については、それが「犯罪」には当たらないので、捜査ではなく警察等による「調査」が行われる。

 


なお、14歳未満の少年の場合はまず児童相談所に通告され、その判断を経て、必要な場合に事件が家庭裁判所に送致されていた。

 


2007(平成 19)年に成立した少年法改正においては、触法少年の事件の調査手続を整備して、警察の任意調査権限を明確化するとともに、これまで警察に認められていなかった捜索・押収・検証等の強制調査権限が付与された(同法6条の2・6条の5)。

 


また、一定の重大事件について児童相談所は原則として事件を家庭裁判所に送致することとされた

(同法6条の7)。

 


保護処分に関しては、これまでの少年院収容可能年齢を引き下げ、家庭裁判所が特に必要と認める場合には、14歳未満(おおむね 12 歳以上)の少年についても少年院送致の処分ができることとし(同法24条1項)、また、保護観察に付された少年が遵守事項を守らなかった場合に,警告を行い、保護観察では本人の改善・更生が見込めない場合には、家庭裁判所が新たに審判を行って少年院送致等の処分をすることができるとされた(同法26条の4)。

 


このほか、殺人など一定の重大事件で、少年鑑別所に収容される(これを「観護措置」という)少年については、家庭裁判所の判断で、弁護士である国選付添人を付することができる制度も新たに導入された(同法22条の3)。

 


下記の本を参考にしました

 


『現代の裁判』第6版

   市川 正人 他2名

   有斐閣アルマ