とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

受刑者の社会復帰

こんにちは。冨樫純です。


「一般の刑務所と受刑者処遇」についてのコラムを紹介します。


テレビドラマなどで「模範囚」などの言葉がありますが、累進処遇制度に基づくものであることを学びました。


一般の刑務所


懲役や禁鋼を執行するいわゆる刑務所は、法律では 「刑事施設」 という (刑事施設2条)。


そのなかには、成人を対象とする一般刑務所と、

20歳未満の懲役·禁鋼受刑者(26 歳まで継続可)を対象とする少年刑務所(少年法 56条)とがある。


「交通刑務所」は、一般刑務所に属する。


一般刑務所は全国に55、少年刑務所は全国に8つ

存在する。


また、女性を対象とする女子刑務所も、全国に5ヵ所ある。


さらに、医療を必要とする受刑者に対して、全国に4カ所の医療刑務所がある。


刑務所では、懲役の場合は所定の作業を行う (刑 12条2項)。


これを「刑務作業」という。


懲役はもともと、施設に閉じ込めて労働を行わせること自体を刑罰の内容とするものであった。


しかし、現在では、このように労働を「罰」としてとらえる考え方は克服されており、むしろ刑務所内での労働は、受刑者の勤労意欲を高め、職業上有益な知識および技能を修得させる可能性をもつものとして位置づけられている。


禁鋼の場合は刑務所に閉じ込めることのみが刑罰内容であるが、このような刑務作業の積極的性格を理由に、実際にはほとんどの禁鋼受刑者が請情願という形で刑務作業に従事している(刑事施設

72条)。


ゆえに、実際には、懲役と禁鋼を区別する意味は薄れつつあり、刑罰内容は自由を奪うことだけにとどめて、刑務作業を受刑者の自発性にもとづく社会復帰のための機会提供とすべきだとする議論もある。


受刑者処遇


受刑者処遇の基本制度には、分類処遇制度と累進処遇制度がある。


分類処遇制度とは、個々の受刑者を一定の分類基準に応じて分類し、各分類に応じた有効な処遇を行うことである。


このなかには、犯罪傾向の進んでいない A級と、犯罪傾向の進んだB級との区別もある。


犯罪者処遇の理想は、1人ひとりに応じた刑罰の個別化個別的処遇である。


しかし、完全な個別化には膨大なコストがかかる

のであり、現実には、同じような問題性をもつ者をまとめて処遇するという方法を取らざるをえない。


累進処遇制度とは、刑の執行に第1級から第4級までの4つの階級を設け、入所当初の最下級(第4級)から、刑務所内での態度や作業成績に応じて順次上級に進級させ、それにあわせて優遇を与えたり自由制限を緩和したりする処遇方法である。


これは、受刑者を実社会の生活に近づけるとともに、社会への適応をはかることを目的とする。


刑期6月以上の懲役受刑者が対象となる。


さらに、居室や食堂、工場などに鍵をかけず、また、面会をなるべく立会者なしで行わせることなどを内容とする開放的処遇がある。


主として交通事犯や女性受刑者等を対象に行われている。


また、開放的処遇では、刑務所の外にある工場や農場などに通勤したり、社会奉仕活動や講演会等への参加、資格取得のための受験といった施設外教育も行われている。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ