こんにちは。冨樫純です
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
「ジェンダー・アイデンティティ」(性における自己認知)という視点をくわえれば、ぼくたちの生きる人間世界が、単純に狭い意味での男と女、だけでできあがっているなどとは、さらに言えなくなるだろう。
セックスは男性だが、ジェンダー・アイデンティティという点では女性であるという、一つの例もある(最近、日本でも、埼玉医大での「性同一性障害」の「女性」への「性転換手術、問題が話題になっている)。
また、ジェンダー・アイデンティティとまではいわなくても、自己の性的表現ということでいえば、たとえば、「異性装志向」の人も多数存在している。
つまり、男装を好む生物学的には「女性」の人や、セックスの面では「男性」だが女装、を好む人たちである。
実際、歴史上にも、作家のジョルジュ・サンドをはじめ、著名人の中に異性装を好む人はたくさん存在している。
個人的な話になるが、ぼく自身、学生時代にはできるだけ「中性的」な服装をしようとした時期があった。
衣服も、バーゲンセールの時期に、女性もの売場で、マニッシュなものを選んで買うといったこともよくした。
なにしろ、街を歩いていて、「イヤだあ、あれ、
私のと一緒だわ」と若い女性から指さされたこともあった。
また、ちょっと化粧をして「異性装」で街を闊歩した体験もある。
当時は、ウエストも60cmを割り、また長髪だったこともあって、夕暮れ時なら、ぼくが男だということに誰も気がつかなかった(実際、男性から声をかけられたこともある)。
まあ、こんな自分の体験からいっても「異性装」というものが、けっこう解放感を抱かせてくれるものだということは実感できる。
渡辺恒夫さんの研究によれば、現代社会においては、現在の自己からの逃避の手段として「異性装」を選択する人も少なくないという。
なんだかよくわかる気がする。
さらに、「性的指向性」という点でも、人間にはさまざまな性のかたちがある。同性をのみ性愛の対象とする「同性愛者」や、両性ともに性的な対象となる「両性愛者」が、「カムアウト」(自分の性的指向性を表明する)することも、現在では珍しくない。
しかし、こうした性的指向をもつ人が、この社会ではマイノリティ(少数派)であることは事実だ。だから、自分の性的指向が、マジョリティ(多数派)と違うということで、悩む若い世代も多い。
また、いまだに同性愛者に対して、さまざまな偏見や差別が存在していることも大きな問題である。このへんのことは、井田真木子さんの『同性愛者たち』(文芸春秋)という本が、とてもうまく描いている。
というわけで、少なくとも性という問題は、「セックス」、「ジェンダー・アイデンティティ」、「性的指向性」という三つの視点から考える必要がある。
感想
今でこそジェンダー・アイデンティティが、一般的に認識されてきていると思います。
以前は、こういうマイノリティーの人々は、今よりも、生きづらさを、感じていたと想像できます。
『男性学入門』
伊藤 公雄
作品社