とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

障害者と学問

こんにちは。冨樫純です。


「社会環境との相互作用としての障害」についてのコラムを紹介します。


ぼくのイメージも障害者が、福祉と結びついていましたが、障害学という学問に位置付けられることに驚きました。


一般通念として、障害者が「障害者福祉」という形に結びつけられがちであることは、障害者が福祉の対象以外の存在でないかのように位置づけることを示している。


しかし、障害者が1人の人間として生活のさまざまな諸領域に関連し、個人の人生をもっていることに思いを至せば、福祉にだけ関連づけることはあまりに狭すぎることになる。


そもそも障害者それ自身も、本人に何らかの身体的精神的困難さがあるにせよ、社会的な諸制度や諸行為との関連で相対的に作り出される社会的不利益であると考える必要がある。


物理的、機能的な心身の損傷としての 「インペアメント」(impairment)の問題なのか、それが社会環境との相互作用において不利益状況が生み出されるディスアビリティ(disability)の問題なのかを複眼的にとらえる必要がある。


たとえば、身体障害者が水道の蛇口をひねれないとき、蛇口をひねって回す形状のものからレバー式の形状のものに変えれば、障害者だけでなく誰でも何の問題もなく水道を使うことができる。


それは「バリア·フリー」の試みということができる。 さらに、それを一歩進めて、障害者·健常者にかかわりなく、多くの人がより使いやすい製品·施設·空間を作り出していくことを重視する「ユニバーサル·デザイン」の動きも起こってきている。


障害が社会環境との関係で決まるとするならば、健常者は「先に配慮された人」障害者は「まだ配慮されていない人」という違いでしかないという問題提起もある。


そのような理解が進むなか、障害そのものを1つの学間的対象と位置づけ、障害者の生活に関連する諸事象に視点を向けていこうとする動きが活発になってきている。


その動きは、障害学という学問領域の成立、障害学会の設立を宣言するまでにいたっている(杉野2007)。


下記の本を参考にしました


社会学

   新版 (New Liberal Arts Selection)

  長谷川 公一 他2名

  有斐閣