こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル ワークフェア
ポスト・ケインジアン福祉国家の時代における社会政策の再編の方向の1つは、ワークフェアと呼ばれるものである。
ワークフェア (workfare) は、ニクソン政権下のアメリカで生まれた言葉で、 労働 (work) と福祉(welfare) の合成語であった。
その後、保守派の論客のなかから、 一人親世帯の間で福祉依存が進んでいるとの主張がなされたことから、こうした世帯に就労を義務づけるという考え方が生まれた。
実際にレーガン政権の福祉改革のなかでは、AFDC (要扶養児童家族扶助) という社会保障給付の受給要件に就労の義務が課された。
クリントン政権の時代にも、就労と福祉の関係を強化する改革がおこなわれた。
ワークフェアはアメリカの制度に固有のものであったが、その後、就労を福祉受給の条件とする考え方を一般的に指すようになり、他の国の社会政策にも影響を及ぼすようになった。
たとえば、イギリスでもブレア政権が「福祉から就労へ」というスローガンを掲げて数々の改革をおこなった。
その他の国でも類似の改革がおこなわれ、職業訓練や求職活動を失業給付の受給要件としたり、公的扶助の受給者に対して就労を義務づけたりする国が増えた。
ワークフェアの概念は、就労を福祉の要件とする政策だけでなく、就労と福祉を関連づける政策の総称として用いられる場合もある。
たとえば、労働者のエンプロイヤビリティ(就労可能性)を高めるために、政府が職業訓練の機会を積極的に提供するというのも就労重視の社会政策の一種である。
これによって失業が減り、社会保険料の収入が増えれば、社会保障制度の財政は安定する。
また、就業形態の多様化も同様である。
これによって、雇用機会を増やすことができれば、人びとの就労促進につながる。
さらに、仕事と家庭の両立を支援する政策も就労の促進につながる。
しかし、これらの政策はアクティベーションと呼ばれることが多い。
というのは、もともとのワークフェアには反福祉的な響きがあるからである。
就労を強調しているという点ではワークフェアもアクティベーションも共通している。
ケインジアン福祉国家のもとでは、ともすると、就労と福祉は別々のものであると考えられがちだった。
経済成長によって完全雇用が達成されるならば、就労の問題は労働市場に任せておけばよく、 福祉は労働市場の外側にいる人びとを対象とすればよい、と考えることができたからである。
しかし今日ではかつてのような経済の高成長が望めないだけでなく、成長しても雇用が増えなくなっている。
人びとの就労の可能性を高めるためには政府の政策が必要である。
働いているにもかかわらず貧困の状態におかれる人びとも生まれるようになっている。このため就労と福祉を接合することの意義が増したのである。
感想
ワークフェアという考え方がおもしろいと思いました。
ただ、就労と福祉を両立する取り組みで、欲張りな感じも少します。
下記の本を参考にしました
『Do! ソシオロジー』改訂版
友枝 敏雄 他1名
有斐閣アルマ