とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

感情社会学とは

こんにちは。冨樫純です。


感情労働をめぐる相互行為」についてのコラムを紹介します。


感情社会学という学問があることを知り、おもしろそうだと思いました。


ウェーバーがその行為類型論において、目的合理的行為、価値合理的行為と異なって、感情的行為を非合理的現象と位置づけたように、近代の合理化過程に関心を払ってきた社会学は、長らく感情を重要な研究対象として位置づけてこなかった。


しかし、民衆の心性(マンタリテ)に焦点をあてた社会史研究が、むしろ近代こそ感情を強調する社会であると主張し、その延長上に母性愛や近代家族が問い直されるようになってきて感情への社会学的関心が高まってきた。


感情社会学では、感情を沸き起こる自然なものととらえるのではなく、社会的·文化的に構築される社会制度そのものであると位置づける。


感情とは相互行為的にあるいは文化のひな型に応じて生成される社会的実践なのである。


感情社会学の知見が私たちに教えてくれるのは、感情が合理的に管理されるという近代の逆説である。


感情社会学の代表的研究者 A. R. ホックシールドは「管理される心』のなかで、フライト·アテンダントを題材に、研修や管理体制を通じて労働者の感情活動の支配が行われ、対面的な相互行為において、クライアントの感情変化を引き起こす(心地好く感じる、不安を取り除くなど)仕事、「成情労働」と位置づけている(Hochschild 1983=2000)。


医療福祉の治療や介護の現場においても専門職の感情労働が行われているわけだが、この領域の特徴は生命や生活を専門職に預けている当事者の立場は一般的に弱く、「人さまに申し訳ないことをお願いしている」などという形で彼らも感情管理を行っていることである(天田 2004)。


航空機のなかと異なり、病院や福祉施設では比較的長期にわたるケアがなされざるをえない以上、専門職にとっても当事者にとっても感情の抑制と発露が日々の実践のなかでせめぎあっているのである。


下記の本を参考にしました


社会学

   新版 (New Liberal Arts Selection)

  長谷川 公一 他2名

  有斐閣