こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
ケインジアン福祉国家の諸前提が動揺をきたしているというのが、先進諸国に共通する現在の状況である。
第1に、ブレトン・ウッズ体制は、ニクソン・ショック (1971年のアメリカによる金とドルの兌換停止) や第1次オイルショックなどの事情が重なり、20世紀の第4四半期には崩壊した。
これにより各国は固定相場制から変動相場制へと移行し、為替の管理は緩和された。
ネオリベラリズムの政府によって金融の自由化が
進められ、国境を越えた資本の移動が自由になって、グローバル化が進んだ。
このため各国政府は国内政策に対する裁量権を著しく狭めた。
第2に、フォーディズムと呼ばれた生産のレジームも20世紀の第4四半期に大きく変化した。
企業は、製造業の拠点を先進国から賃金の安い開発途上国に移した。このため先進諸国では、各国経済に占める重化学工業の比重が低下し、製造業労働者の発言力も弱くなった。
他方、先進諸国ではサービス化や情報化によっ
て、非製造業部門の労働者が増大したが、彼ら彼女らの労働は非定型的であることが多く、製造業労働者のように十分には組織されていなかった。
このため社会保険の基盤は不安定化せざるをえ
なくなった。
さらに産業構造の変化にともない、人びとの生活スタイルも変化した。
フォーディズムの時代には、大量生産による画一的な低価格商品が人びとの消費の中心だったが、情報化が進展することによって価格を引き上げることなく多品種少量生産が可能となった。
このため画一主義的な消費生活は終わりを告げた。
人びとの働き方も変わり、雇用労働のあり方が多様化した。
ボランタリー・ワークに積極的な人びとも出現した。
第3に、近代家父長制家族が変容を遂げた。
各国で離婚率が増大して婚姻が不安定化した。
ヨーロッパ諸国では同棲や婚外子の数が増え、法律婚をともなわない形態の共同生活が増えた。
事実婚であるか法律婚であるかを問わず、 そもそも結婚をせずに、家族を形成しない人びとの数も増えている。
さらに婚姻制度のもとにある家族の場合でも、専業主婦の数が減少し、もはや男性稼ぎ手モデルが成り立たなくなった。
そして、人口転換がさらに進んだ。 福祉国家の成立時には、すでに人口構造が多産多死から多産少死を経て少産少死へと転換を遂げており、人口の高齢化が始まっていた。
この傾向はケインジアン福祉国家のもとでさらに進んだ。 先進諸国では出生率の低下が著しく進み、多くの国で、 合計特殊出生率 (1人の女性が一生の間に平均して産む子どもの数)が、人口の置換水準(人口が安定的に維持される水準)を下回る時代が続いている(日本の場合は 1974年以降)。
このため高齢化だけでなく人口減少が不可避となっている。
感想
経済理論が機能するためには、前提条件が大事だと思いました。
下記の本を参考にしました
『Do! ソシオロジー』改訂版
友枝 敏雄 他1名
有斐閣アルマ