とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

日本での「リベラル」とは?

こんにちは。冨樫純です。

 

自由主義」についてのコラムを紹介します。

 

ぼくは、Bのような使われ方がリベラルだと思っていましたが、きちんと定義づけして使うべきだと思いました。

 

自由主義は、リペラリズム (liberalism)という英語の日本語訳である。

 

自由主義的な考えをもつ者を、リベラル、もしくはリベラル派と呼んでよさそうである。

 

だが、次のような会話を聞くと、どうもそう簡単にはいかないようである。

 

A

経済的に困っていたり、心身に障害をもっていたりといった理由で社会的に恵まれない人々のために福祉をもっと充実させる、というのがリベラルな政策の特徴じゃないかな。

 

女性や外国人のように社会的に差別されている人々を積極的に支援するというのも、いかにもリベラルな政策だという印象がある。

 

B
でも、リベラルというのは自由主義的だということでしょ。だとすると、いろいろな規制をできるだけ撤廃し、税金もなるべく軽くして、個人や民間企業が思う存分自由に活動できるようにするという政策が自由主義的だといえるんじゃないの?

 

『小さな政府』 というスローガンも、典型的に自由主義的だと思うけど。

 

現代の日本では、ジャーナリズムや日常的な会話のレベルにおいて、Aの言うような意味でリベラルという使い方がなされることも多い。

 

そこで使われる「リベラル」という名称は、もっぱらアメリカにおける一つの党派(主として民主党ないしはその支持者) を念頭において使われる用語である。

 

ところが、ヨーロッパでは、Aが言及するような政策は社会民主主義(社民)的と総称されることが多く、リベラルもしくはリベラリズムというのは、どちらかというとBの言うような意味で(Bそのものというわけではない)使われる場合が多い。

 

日本では、ヨーロッパ起源の用語法とアメリカ起源の用語法とが混在しており、そのため「自由主義」に対するイメージが分裂して、議論が時に混乱する。

 

こういった混乱を避けるため、政治学の専門家は、Bの言及するような立場を「リバタリアニズム」と呼び、福祉国家を志向する Aのようなタイプの自由主義と区別することも多い。

 

下記の本を参考にしました

 

政治学』補訂版
 (NewLiberalArtsSelection)
 久米 郁男 他2名
 有斐閣