こんにちは。冨樫純です。
「保存の概念」についてのコラムを紹介します。
おもしろい実験なので、周りに幼児がいたら実際にやってみたいと思いました。
年少の幼児は、数、量、重さ(質量)などについて、ものの見せかけの形態が変わっても、それが同一である、という保存の概念をもっていない。
たとえば、「ジュースの量は、たとえその容器の形が変わっても、それにつけ足したり取り去ったりしなければ、変わらない」という量の保存を理解していない。
同形同大の2つの容器aとbに同じ量のジュースを入れて、子どもに、「どちらのジュースが多いか、どちらが多く飲めるか」 をたずねると、「両方同じ」と答える。
このことを確かめた上で、子どもの目の前で、一方の容器bのジュースを、形の違う細長い容器cに移す。そして再びaとcでは、どちらのジュースが
多いかをたずねてみる。
4、5歳の幼児では、ほとんどが細長い容器で水面が高くなっているほう(c) が多く飲めると答える。
すなわち、同じ量のジュース(液体)が、 形が変わっただけで同じではなくなった、とみなしている。
水面の高さだけに注目して多い少ないを判断しているのであり、同時に底面の大小を考慮に入れることができない。
逆に、底面を考えるときには、水面の高さのほうは考えない。
これに対して、6、7歳以上の子どもは、このような場面で、aとc両方のジュース(液体) の量が同じだという判断をする。
すなわち、保存の概念をもっており、彼らはまた、容器の高さと幅との両面を考慮に入れて、判断することができる。
オハジキと紙にくるんだアメが同じ間隔で並んでいるので「両方とも同じ」と答えるが、アメの列が長いのを見て「アメのほうが多い」と答える。
2つの粘土が同じ形なので「重さは同じ」と答えるが、片方の粘土を細長く変えると「重さは違う」と答える。
このように、幼児は、いろいろな側面について保存の概念をもっていない。
保存の概念が成立するにつれて、論理的な思考も可能になる。数の保存概念は比較的早期に成立するが、重さ (質量) の保存の概念は、成人にとっても難しい。
下記の本を参考にしました
『心理学』第5版補訂版
鹿取 廣人 他2名