とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

物事が忘れられないことで悩む

こんにちは。冨樫純です。


「記憶術と特異な記憶能力」についてのコラムを紹介します。


物事が忘れられないことや、膨大な記憶量によって心が混乱することで悩んでいた人がいたことに驚きました。


特に受験生は、覚えられなくて悩むのにと思いました。


記憶しにくい材料をすみやかに多量に記憶する記憶術 (mnemonics)は、ギリシアの昔からあった。


円周率を10万桁まで暗唱した人物は、「語呂合わせを混ぜながら数字にストーリーを与えていく」という方法でこの驚異的な記憶を可能にした(原口, 2006)。

 

以下のような記憶術の基本は、覚えたい情報をほかの情報と関連させることであるとされる。


①場所法


自宅など、よく知っている場所を思い浮かべ、記憶したい項目を順序に従ってそれぞれの場所に置いて行く方法。


②語呂合わせ


数字2の平方根1.41421356 を「ひとよひとよにひとみごろ」(一夜一夜に人見頃)というように、

数字は仮名に、仮名は単語に、単語は文に変換する方法。


③イメージ法


記憶しようとする内容を心の中で映像化する方法。


④物語連鎖法


物語を考え、その話に記憶したい対象を登場させる方法。一般の人がものを覚えようと努力するときには、情報を精織化、体制化したり、記憶術を使ったりするが、こうした努力をしなくても記憶がほとんど失われない人も存在する。


ルリヤ (1968)が報告している特異な記憶力の持ち主は、新聞記者をしていたが、このデスクからの指令を一切メモに取らないことが着目され、記憶能力が詳しく調べられた。


この人物は、1ヵ月後でも、1年後でも、さらには10年後でも、何百もの文字からなる無意味な文字列を、記憶した当初と同じ正確さで再現してみせた。


この人物には幼児の頃から、音を聴くと色や形が見えるという共感覚能力があった。


彼は、語や数を視覚像に変換することで記憶していた。再生のとき、彼は単に記憶した視覚像を読むだけで答えられたので、文字列を反対方向でも、対角線でも流暢に 「読む」 ことができた。


ただ、人生の後半は物事が忘れられないこと、膨大な記憶量によって心が混乱することで、「忘れること」と普通の人間に戻ることを望んでいたとされる。


なお、サパン症候群(知的能力に著しい障害を示すが、 特定の能力については健常者をはるかに凌駕する)の人の中には、 直観像記憶能力をもち、天才的な記憶能力を示す人がいる。


その1人は小脳に障害があり、また脳梁を欠損しており、日常生活が一人ではできなかったが、9000冊以上の本を丸暗記し、母国アメリカのすべての都市の市外局番、郵便番号、その都市をカバーするテレビ局や電話会社名も記憶していたとされる (Treffert & Christensen, 2005)。


下記の本を参考にしました


『心理学』第5版補訂版 

 鹿取 廣人 他2名

 東京大学出版会