とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

大多数の「標準」

こんにちは。冨樫純です。

 


哲学や倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


大多数の「標準」

 


色や味については「通常/標準/普通」といったものを設定するのが容易だということだ。

 


肉の色を例にしよう。生肉の色は「普通」ピンクだが、焼くと「通常」 茶色になる。そのため、肉が焼けているかどうかは色を見ればすぐわかる。

 


多くの人はこの意見に同意するだろう。しかし、すべての人がそうであるわけではない。

 


色覚異常」(色盲)と呼ばれる人々のなかには、鮮やかな赤さを見ることができず、肉が焼けているかどうかを色で判断することが難しい人もいる。

 


色覚に関わる眼の細胞(錐体細胞)の一部がうまく機能せず、他の人とは違った色が見えているのだけど、色覚異常とそうでない人を比べると、後者の方が多い。

 


遺伝のために起こる先天的色覚異常の人は、日本の場合、男性の5%、女性の0.2%だと言われている。

 


実際、大多数の人は生肉と焼いた肉を色によって区別できているだろう。

 


そのため、大多数の人によって「普通」や「標準」が設定されるようになる。

 


生肉と焼いた肉は「通常」色が違って見えるものだと言われるようになるのだ。

 


このように大多数によって標準が設定された後、その標準と物理的性質が対応づけられるようになる。

 


生肉から反射される光の波長成分が「ピンクの波長」だと言われるようになるのだ。

 


味についても同様のことが言えるだろう。砂糖を舐めると大多数の人は甘さを感じる。舌がうまく働かないため砂糖を舐めて甘さを感じない人もいるだろうが、大多数の人が「標準」となり、「砂糖は普通甘い」と言われるようになるのである。

 


そして、大多数の人が甘さを感じるものがもつ化学的成分が「甘いもの」と言われるようになるのだ。

 


感想

 


大多数の意向によって「通常/標準/普通」といったものが決まるという。

 


改めて言われると、「通常/標準/普通」でなければならないのかと思ってしまう。

 


下記の本を參考にしました

 


『美味しい』とは何か    

 食からひもとく美学入門

 源河 亨

 中公新書

 

flier(フライヤー)