こんにちは。冨樫純です。
哲学や倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
物理的基準
「対象がもつ性質はどのように特定されるのか」という疑問が浮かんだかもしれない。
たとえば、熟れたトマトを前にして「このトマトは赤い」と言う人と「いや、緑だ」と言う人がいたとする。
もちろん、前者の判断が正しい。 しかし、判断の正誤判定する基準、そのトマトが赤いことは、どのようにして決まるのだろうか。
一つの答えは、「物理的に決まる」というものだ。この答えがどういうものかを理解するために、色はどのような仕組みで見えるかについて少し説明しておこう。
物体に当てられた光は一部が物体に吸収され、残りが反射される。反射された光が私たちの眼に入り、視神経や脳の色覚野といった一連のシステムが働くと、色が見える。
そして、私たちが見える物体の色は、その物体の反射光の波長成分によって決まる。
たとえば、トマトとピーマンが同じ照明のもとにあっても、それぞれが吸収・反射する光の波長成分は異なる。
そのため違った成分の光が眼に入り、色覚システムの反応も違ってくる。そのため両者は違った色に見える。
他方で、トマト、リンゴ、イチゴ、トウガラシなどは、微妙に色合いに違いはあるものの、色の点で似たように見える。
それらの対象から反射されて眼に入っている光はおおよそ似た波長になっていて、色覚システムに同じような反応を引き起こしているからだ。
色以外も同様に理解できる。甘さやしょっぱさは舌に触れる物質の化学的な構造によって決まる。
音量・音高・音色は音波の振幅や波形によって決まり、熱さは対象を構成する分子の振動の度合いによって決まる。
対象がどのような物理的性質をもっているかが決まれば、その対象がどのような色、音色味をもっているかが決まるのである。
そうすると、そのように物理的に特定された性質と判断が対象に帰属させる性質とが一致するかどうかで、その判断が正しいかどうかを判定できることになる。
色や味に関する記述的判断は以上のように説明できる。
感想
人の認識能力は複雑だと、改めて感じました。
下記の本を參考にしました
『美味しい』とは何か
食からひもとく美学入門
源河 亨