こんにちは。冨樫純です。
法哲学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
代理母への批判
立岩真也の『私的所有論』という興味深い本がある。この書物は題名から想像されるような法的な所有権を扱ったものではなくて、私的所有の観念を鍵に生命倫理の問題を扱ったものだが、著者はその中で、代理母等の生殖技術の利用への介入を正当化しようとするさまざまの議論を批判的に検討している。
たとえば決定の前提としての情報が提供されていないという議論があるが、それは十分な情報が提供されるべきだということしか意味しない、と立岩は反駁する。
また生殖技術を利用できるのは富者だけだという指摘があるが、それなら税金を使ってでもすべての人が利用できるようにすればよいではないか、と答える。
売却者・譲渡者になる貧しい者が搾取される、という批判に対しては、なぜ商品化一般ではなくて生殖にかかわる譲渡だけが問題なのかを示していない、と反論する。
立岩のこれらの議論の中には、にわかに賛成できないものもある。
たとえば税金を使って全ての人が生殖技術を利用できるようにすることは、その技術に賛成しない人々にまで財産の拠出を強いることになってしまう。
それよりも、ある種の高価な技術は富者しか利
用できないとしても、それは誰も利用できないよりはましである、またそのことによって貧しい人にも利用できるようになってくる、と言うべきである。
大部分の技術は、最初金持ちの贅沢品として始まり、その進化とともに万人の必需品になったのである。
貧しいために新しい技術を利用できない人がいるということを気にしていたら、人類はいつまでたっても文明生活ができなかっただろう。
感想
生殖技術を利用できるのは富者だけだという指摘があるが、それなら税金を使ってでもすべての人が利用できるようにすればよいではないか、と答える。
という箇所がおもしろいと思いました。
極端な話ではあると思いますけど、一理あると思います。
下記の本を參考にしました
『自由はどこまで可能か』
リバタリアニズム入門
森村 進