とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

首相公選制と憲法改正

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、憲法を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


憲法改正が前提

 


B: 首相公選制は、現在の憲法を改正することを前提とした上でのことだからね。

 


A: アッ、そうか。 憲法を改正しなきゃ無理なんだ!?

 


B: そりゃそうだろ。 だって、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名された人を天皇が任命するということが、はっきり憲法に書いてあるんだから (67条1項、6条1項)。

 


A: そうなると確かに難しいわね。 それに、首相を国民の直接選挙で選ぶということになれば、国民投票をどうやってやるのかについても決めておかなくてはならないでしょうしね。

 


B: そのとおり。 憲法改正のための国民投票 (96条)については、ようやく平成19年に「日本国憲法の改正手続に関する法律」というのが制定されたけど、首相を公選するということになると、また別の話だからね。

 


A: うーん。なかなか実現しそうにないわね。

 


B : それに、首相公選制といったって、必ずしもいい点ばかりではないと思うよ。はたして日本の政治にとって、アメリカの大統領制に近い制度が、本当にいい制度として根づくようなものなのか、疑問だとする声もあるんだ。

 


でも逆に、 停滞した政治への不満はとても大きく、政治への不信も強まって、世論調査などでも、首相公選制に賛成する声が大きくなったこともあって、1991年あたりから再び首相公選論がいろんな方面の学者によって主張されるようになり、1993年には、自民党内に 「首相公選制を考える国会議員の会」 というのが作られて、 数回の勉強会をしたりもしたし、小泉内閣になってからは、2001 (平成13)年6月に、10人ほどの有識者を集めた「首相公選制を考える懇談会」 が作られ、その検討の結果が報告書として出されたりもしているんだ。

 


A:じゃあ、 今後、そういう方向で憲法改正すべきだというような議論も出てくるのかしら。

 


B : それはどうなるか分からないけど、首相を公選したら、はたして本当に首相にふさわしい人物が首相に選ばれて政治がよくなるのかどうかは、分からないよ。

 


どこかの知事選挙みたいに、人気投票同然のものになってしまう恐れもないわけじゃないしね。

 


首相公選制の推進論者は、議院内閣制だと今のように派閥政治が温存され、政権交代の可能性が少なく、政権が長続きせずに不安定になると言っていたわけだけど、はたして、そういった欠陥は議院内閣制だからなのか、首相公選制にしたら解決される保証はあるのか、ということになると、必ずしもそういうわけじゃないと思うんだ。

 


数年前にはもう現行制度のもとでも実際に政権交代が起こったわけだから、むしろ、議院内閣制をうまく機能させてそのメリットを生かすようにすれば、今の制度もそれ自体そんなに悪い制度じゃないように思うけどね。

 


たしかに、自民党に派閥が実質上復活しているみたいな状況は問題だろうけど、今の憲法の制度が悪の根源みたいにいうのはどうかな。

 


A: さっきあなたが言ってたように、総選挙で民主党が勝利したら民主党の代表が首相になるんだということを、みんながあらかじめ認識して選挙に臨めるということになれば、実質的には首相公選とよく似た結果になるよね。

 


たしかイギリスやドイツなんかはそうよね。

 


B: うん, そうだよね。

 


でも、そのためには、総選挙の前に各党の党首なり首相候補者の選出が行われていないといけないことになりそうだけど、日本のように、こう頻繁に、しかも急に、政権が崩壊したり解散があったりする国では、なかなかそういう運用は難しいんじゃないかな。

 


A : ほんとにそうね。

 


感想

 


首相公選制に憲法改正が前提で、実現することはかなり難しいと感じました。

 


下記の本を参考にしました

 


『いちばんやさしい 憲法入門』

 初宿 正典 他2名

 有斐閣アルマ

 

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