こんにちは。冨樫純です。
独学で、憲法を学んでいます
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
どちらが正しいのか?
国民の教育権説と国家の教育権説とが対立してきましたが、この2つの説のうち、どちらが正しいのでしょうか。
まず、国民の教育権説からみていきましょう。 この説は、 親は教師を信頼して自分の子どもの教育を教師に委ねていると考えるので、実質的には、どのような本を教科書として用いるかの決定は、教師の手に委ねられることになります。
しかし、教師が不適切な本や思想的に偏った本を教科書として使用する可能性があります。
そのような場合に被害をこうむるのは、子どもたちです。
このように考えてくると、教育内容に対する国家の関与を全面的に否定することは、妥当ではないといえます。
それでは、国家の教育権説が正しいということになるのでしょうか。
ところが、この説にも問題があります。
はたして、この説のいうように、教育内容についての国民の総意が選挙を通じて国家に反映されているといえるのでしょうか。
わたしたちは、雇用、福祉、防衛などのすべての政策を総合的に検討したうえで投票しているのであって、教育問題だけを念頭において投票しているわけではありません。
また、学校での教科書の使用が義務づけられているので、国家が国民の思想統制の手段として教科書を利用した場合の害悪の大きさを見過ごすことはできません。
このように考えてくると、教育内容について全面的に国家に委ねてしまうことも、やはり妥当ではないといえます。
そうすると、結局、どちらの説も全面的に正しいというわけではなく、2説のうちどちらが正しいのかという問題のたて方自体が、適切ではなかったことになります。
この点について、最高裁判所は、旭川学力テスト事件判決において、いずれも極端かつ一方的であり、そのいずれをも全面的に採用することはできない、と述べています。
ですから、教育権の所在については、国家の権限が教育内容にもおよびうることを認めたうえで、国家の権限行使の限界をどこに見出すべきか、というふうに問いをたてていくことが必要となります。
感想
どちらが正しいかは難しい問題で、こういう考え方もある、くらいに認識しておけばいいのかなと思います。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい 憲法入門』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ