とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

保育園に通わすデメリットはない

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、経済学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


「恵まれない家庭の子ども」の発達を改善する

 


日本の幼児教育を考える上で参考になりそうなのは、その国の大多数の子どもたちが通うような「普通の保育園」「普通の幼稚園」の効果を分析した研究です。

 


「普通の保育園」ならば、そこに通う子どもたちは貧しい家庭の子どもに限らないし、特別な学歴・資格を持った先生方だけが教えているわけではありませんから、日本の保育園・幼稚園と大きな違いはないと考えていいでしょう。

 


思い出話になってしまいますが、私の息子はカナダの幼稚園に1年、日本の幼稚園に1年半ほど通いました。

 


親目線で見る限り、どちらも十分高い質の教育を提供していたように見えます。あえて違いを言えば、日本の幼稚園は団体行動や規律を重んじている気がします。

 


カナダの幼稚園の子どもたちは、かなり自由なのです。

 


カナダの教室の様子を初めて目にしたときは、そのあまりの奔放ぶりに驚きました。自由というより無秩序なのではと正直心配になったほどですが、どの子もいい子に育っているのを目にするようになると、その良さを受け入れられるようになりました。

 


自分が知らないだけで、良い教育方法はいくらでもあるものだなと勉強になりました。

 


クラスの子どもたちは、私の息子を除くとみな白人で、英語が母語だったので、そうした中に入っていくのは息子にとってはもちろん、親にとっても大変なストレスと困難がありました。

 


小さいうちならば簡単に英語も身につくのではと甘い期待を抱いていましたが、これは全くの間違いでした。

 


それまで日本語で育てられた子どもが、突然英語オンリーの環境に放り込まれるというのは子どもにとって大変な負担です(息子よ、すまん......)。

 


それでも先生方は常に配慮して、私たちの持つ異文化も尊重してくれました。息子は仲の良い友達ができましたし、親もなんとかやっていくことができました。

 


さて、話をもとに戻して、海外の「普通の保育園・幼稚園」にはどのような効果があるのかを見ていきましょう。

 


アルゼンチン、ノルウェー、スペイン、ドイツ、アメリカ(ジョージア州オクラホマ州)といった国々それぞれで、幼児教育が学力に及ぼす影響を評価しています。

 


これらの研究によると、幼児教育によってテストの点は上がります。しかし、その効果は長くても中学1年生になるあたりまでしか続かず、次第にその効果は薄れていくようです。

 


このパターンはペリー就学前プロジェクトで見られたとおりです。やはり、学力面への影響は長続きしないのです。

 


いくつかの研究では、社会情緒的能力に対する影響も見ていますが、デンマークでは影響なし、スペインとドイツでは社会情緒的能力の向上と、それにともなう問題行動の減少が報告されています。

 


ペリー就学前プロジェクトで見られたように、長期的に効果が持続し、犯罪など社会にとって望ましくないような行動が減ったかという点については、まだよくわかっていません。

 


幼児期から大人になるまでの長期追跡調査を大規模に行うことが難しいため、データが不足しているからです。

 


これらの研究に共通しているのは、子どもの発達を改善する効果は、恵まれない貧しい家庭で育つ子どもたちに強く表れている点です。

 


多くの研究では、平均的な家庭で育つ子どもたちに対する効果はほとんど認められていません。

 


これは、研究が行われた先進国での平均的な家庭においては、たとえ公的な幼児教育に参加しなかったとしても、子どもにとってある程度望ましい環境を提供できるためです。

 


また、イタリアの研究では、保育の質が子どもの発達にとって重要であることを指摘しています。

 


イタリアのボローニャは有数の豊かな都市で、専業主婦が多く、祖父母が同居ないし近所にいて子どもの世話をしてくれるため、子どもにとっての家庭環境がとても恵まれています。

 


こうした豊かな社会で大規模な幼児教育プログラムを導入した結果、子どもの発達にかえって悪影響があったことが報告されています。

 


これは、家庭環境があまりに恵まれていた一方で、保育士1人に対する子どもの比率がかなり高く、ボローニャの保育園の質が低かったためだと考えられています。

 


乳幼児の発達には、大人と一対一で触れ合うことが重要です。

 


豊かな家庭における保育では、それを実践できるのですが、質の低い保育園では、子どもと大人が一対一で接する機会がほとんどありません。

 


日本の保育所の配置基準では、0歳児に対しては、保育士1人あたり子どもは3人までと定められていますが、この程度であれば問題はなさそうです。

 


というのも、日本での保育園通いは子どもの発達にプラスの影響こそあれ、マイナスの影響は見つけられなかったためです。

 


幼児教育には常に費用の問題がありますから、現実的には、どこまでも質を高めるわけにはいかないのですが、家庭の保育環境と比べて、大きく劣らないように、一定の質を確保することが必要であることを、この研究は示しています。

 


感想

 


保育園に子どもを通わせることは、デメリットが

これといってないようです。

 


共働きの親にとっては、都合の良い知見かもしれません。

 


下記の本を参考にしました

 


『家族の幸せ』の経済学 

  データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実

  山口 慎太郎著

  光文社新書

 

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