こんにちは。冨樫純です。
独学で、経済学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
知能より、軋轢を生む問題行動を減らす効果がある
ペリー就学前プロジェクトの短期的な効果は目覚ましいものでした。
5歳時点で評価した知能指数、学力テストの点数は軒並み大幅に上がっていますし、情緒面で見ても、勤勉さが改善されました。
しかし、知能面に対する効果は長続きしなかったようです。 知能指数に与える効果は、8歳時点でほぼ消えてしまいました。
この結果、ちょっと残念な感じがしますが、実は、多くの幼児教育プログラムに共通して現れるパターンです。
大抵の幼児教育プログラムは、実施直後に大きな効果を見せますが、小学校入学後、2~3年経つと、知能指数に対する効果は消えてしまうことが広く報告されています。
残念ながら、いっときの勉強で、長い期間にわたって頭の良さを保ち続けられるというような、うまい話はないようです。
やはり、勉強はやり続けなければ、頭の良さは早晩衰えてしまうのでしょう。
人間、一生勉強というのは真理なのかもしれません。
しかし、知能に対する影響がいずれ消えてしまうことをもって、この幼児教育プログラムには効果がなかったと結論づけるのは早計です。
40歳になるまで追跡調査を続けた結果わかったのは、幼児教育は将来の高校卒業率を引き上げ、大人になってから仕事に就いている確率を上げ、所得を増やしたということです。
さらに、生活保護受給率を下げ、警察に逮捕さ
れる回数も減らすなど、さまざまな社会生活面で大きな効果を上げたことが明らかになりました。
知能に対する効果は、数年で消えてしまうのに、一体どうして大人になってからの社会生活に影響を及ぼしうるのでしょうか。
ヘックマン教授らが詳しくデータを分析したところ、成功の鍵は、非認知能力、あるいは社会情緒的能力と呼ばれるものにあったようです。
より具体的には、周囲の人々との間で軋轢を生じさせる問題行動を減らせるようになったことが重要だったのです。
幼児教育が問題行動を減らしたことで、将来の暴力犯罪への関与や警察による逮捕、そして失業を大幅に減らすことにつながったようです。
幼児教育の知能に対する効果が数年で消えたとしても、 幼少期に社会情緒的能力を改善すると、その効果は長期にわたり持続したため、大人になってからの社会生活に好ましい影響が現れたと考えられます。
感想
知能に対する効果が、数年で消えてしまうことは残念です。
でも、我々が知能にこだわり過ぎているのかもしれないとも思いました。
下記の本を参考にしました
『家族の幸せ』の経済学
データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実
山口 慎太郎著