こんにちは。冨樫純です。
独学で、経済学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
得をするのは、教育を受けた本人だけではない
ペリー就学前プロジェクトの成功ぶりがわかるのですが、ヘックマン教授はさらに踏み込んで、経済学者らしく「お金」にまつわる話もしています。
素晴らしい成果を上げたこのプロジェクトは、その実施費用もかなりの金額に上りました。
はたして、このプロジェクトは、その費用に見合った成果を上げたと言えるのでしょうか。
このプログラムが生み出した主な成果は、生涯労働所得の増加、犯罪の減少、社会福祉利用の減少などです。
これらをすべて考慮した上で、プログラムの費用対効果を表す指標として、年あたりの収益率を計算すると、7.7パーセントに達したそうです。
過去50年間の平均的な株式市場の実質収益率は5パーセントほどですから、ペリー就学前プロジェクトは、株式市場への投資をしのぐ、「優良投資プロジェクト」だったと言えます。
この分析でのもう一つの重要な発見は、こうした経済的利益の半分ほどは、犯罪の減少に由来するものであることです。
犯罪は社会にとってとても大きな費用を生み出します。 ここには、犯罪被害を金銭評価したものはもちろんのこと、収監費用、司法・警察活動に関わる費用などが含まれています。
生涯所得の増加は、教育を受けた本人だけが受け取る利益ですが、犯罪の減少から得られる利益、あるいは費用の節約は、社会全体で薄く広く受け取っています。
したがって、幼児教育によって得をするのは、教育を受けた本人だけでなく、社会全体であることが明らかになったと言えます。
これは、幼児教育の費用を誰が負担すべきかという問いに対して、ひとつの手がかりを与えてくれます。
子ども自身が得をするのだから、その親が費用負担をすべきだという意見には筋が通っているようですが、それと同時に、社会全体が得をするのだから、社会全体がその費用を負担すべきだという議論が成り立ちます。
つまり、幼児教育には税金が投入されるべきだという意見には、一定の経済学的根拠があるのです。
感想
犯罪の減少が税負担を減らすという点に着目したことがおもしろいと思いました。
また、刑務所が犯罪者を収容しきれなくなるかもしれないという話は聞くことがあるので、余計にこの視点は大事だと思いました。
下記の本を参考にしました
『家族の幸せ』の経済学
データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実
山口 慎太郎著