こんにちは。冨樫純です。
独学で、経済学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
経済学界の"怪物"、ジェームズ・ヘックマン
ヘックマン教授の一連の研究は、アメリカ社会に大きな影響力を持ち、オバマ前大統領の幼児教育政策を方向づけたと言われています。
著書『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)は、日本でも話題になったので、ご存知の読者さんもいるかもしれません。
ちなみにヘックマン教授は2000年にノーベル経済学賞を受賞していますが、受賞理由はある有名な統計分析手法を開発したことであり、幼児教育研究は、直接関係しているわけではありません。
ノーベル賞を受賞してなお、幼児教育の研究を精力的に進め、新たにノーベル賞級の成果を上げている経済学界の怪物です。
ヘックマン教授は、さまざまな幼児教育プログラムの効果を検証しました。
その中でも最も有名なものは、「ペリー就学前プロジェクト」と呼ばれるもので、1962~66年に、3~4歳の低所得の黒人家庭の子どもたちを対象に始められました。
このプログラムでは、子どもたちを幼稚園のような施設に集め、週あたり12~15時間ほど教育を受けさせました。
加えて、先生が週1回家庭訪問を行い、子育てについてのアドバイスを保護者(主にお母さん)に行いました。
内容の充実もさることながら、先生は、みな4
年制大学を卒業し、州政府が認可する幼児教育の資格も持っている一流の先生ばかりですから、このプログラムの質は一級品と言えます。
このプログラムのユニークな点は、参加者を無作為抽選によって決めていることです。 統計学では、無作為抽選を行い、プログラムに参加した子どもと参加しなかった子どもを比べることで、プログラムの効果を正しく測れることがわかっているためです。
抽選の結果、3人がプログラムへの参加を認められました。一方、656人がプログラムには参加しないものの、データ収集の対象として調査に参加しています。
人数が少ないのは、プログラムの実施には大きな費用がともなうためです(もちろん、参加者の費用負担はありません)。
ペリー就学前プロジェクトでは、子どもの認知能力や社会情緒的能力を測定の対象とするだけでなく、40歳に至るまで長期追跡調査を行っており、大人になってからの社会参加や生活状況を詳しく調べています。
これがペリー就学前プロジェクトの概要ですが、私自身は、このプロジェクトの全体像を知ったときに、衝撃を受けました。
幼児教育について社会実験を行うという発想はもちろん、40歳に至るまで追跡調査を行うという気の長さ! 人間を深く知ろうという情熱と根気に圧倒されます。
さらに言えば、こんなプロジェクトを1962年にやってしまうのですから、トランプ大統領でなくとも、アメリカという国の偉大さを感じずにはいられませんでした。
感想
たしかに、何十年も追跡するところに根気や情熱を感じます。
下記の本を参考にしました
『家族の幸せ』の経済学
データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実
山口 慎太郎著