こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル トラッキング・システムとは
女子への門戸開放など、教育の機会が平等に開かれて半世紀、結果として教育における男女の平等は達成されているのだろうか。
2003年度の高校進学率は女子約98%、男子約97%、大学・短大進学率は女子約45%、男子約50%である。
かつてはいずれも男子の進学率のほうが高かったのだが、現在では、高校進学率、大学・短大進学率のいずれにおいても、ほとんど性差は見られなくなっている。
この数字だけを見ると、今日では教育上女子が劣位におかれているといった問題は存在しないように見える。
しかし、もう少しくわしく見ていくと、事態はそれほど単純ではないことがわかる。
高校教育については、普通科以外の学科では男女比の偏りがあり、工業・農業・水産といった学科では男子の割合が、商業・家庭・看護といった学科では女子の割合が大きい。
また、高等教育進学の内訳をみると、男子の場合ほとんどが4年制大学への進学者であるが、 女子の場合は、その約3分の1が短期大学への進学者となっている。
4年制大学の進学率だけを比較すれば、男子約48%に対し、女子は約34%にとどまっている。
専攻分野を見ると、人文科学系や家政・教育・芸術関係の学部では女子の比率が高いが、社会科学系、理学・工学系の学部では低い。
あらゆる専攻分野において男女比の不均衡が見られ、それぞれの分野には暗黙のうちに女子向き、男子向きといった性格づけがなされている。
こうして学校教育の就学経路上の性差を見ていくと、今日の日本の教育システムでは、義務教育段階でこそ男女共学 男女同一の教育内容というあり方が主流であるが、後期中等教育から高等教育へと教育段階がすすむにつれて男女別コースへと分化していくことがわかる。
学校において子どもたちは学業達成を奨励されるが、女子の場合はその性別ゆえに、達成意欲を
冷却(クーリング・ダウン)させられる経験を積んでいく。
外部からそうした働きかけを受けることによって、女子は内面においても、ある種の障壁を築いてしまう。
たとえば、何らかの高い業績を達成して成功することをおそれる気持ち(「成功不安」)が、女性にはあるといわれている。
女性の場合、競争に打ち勝って高い成績をあげることは「女らしさ」のイメージと対立するため、そのことによってマイナスの結果が自分にもたらされることを予想してしまうのである。
学校教育において女性に対する「地位引き下げ」現象が生じ、女子の達成意欲が冷却される傾向があるのに対して、一方の男子は学歴主義のプレッシャーをまともに受けて、その達成意欲は直線的に高揚(ウォーミング・アップ)されるばかりである。
さらに、男女ともに各自の適性や希望とは別に、固定的なジェンダー・イメージによって、女子向きコース、男子向きコースへと方向づけられていくのである。
アメリカのハイスクール研究は、「進学コース」「就職コース」といった学校内のコース分けによ
って、進路選択のオプションが制約される状況を「トラッキング」と呼んでいる。
日本の学校教育は、高校間格差に代表される学業成績にもとづくトラッキング・システムとともに、男女という性別によって進路選択の可能性を規制する性別によるトラッキング・システムを内包しているといえよう。
感想
教育に関しては男女平等だと思っていましたが、そうではないことが分かりました。
日本は男女平等とはほど遠いと改めて感じました。
下記の本を参考にしました
伊藤公雄 牟田和恵編著