とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

低出生体重児が増えた要因

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、経済学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


かつては生きられなかった赤ちゃんを救える時代

 


低出生体重児が増えた要因として、近年の医療技術の発達も挙げられま す。

 


逆説的に聞こえるかもしれませんが、これは従来では死産となってしまっていた赤ちゃんが、誕生できるようになったためです。

 


誘発分娩や帝王切開による出産は広く行われるようになっていますが、こうした医療技術のおかげで母子ともに健康でいられる一方で、予定日よりも早い出産につながるため、結果として出生体重が軽くなりがちです。

 


また、新生児特定集中治療室(NICU)の整備が進み、未熟児を救うことができるようになったことも、低出生体重児が増えた要因の一つです。

 


低出生体重児が増えたことは一般的には懸念材料ではありますが、かつては生きられなかった赤ちゃんを救えるようになったことも関係していると知ると、ちょっとホッとしますね。

 


私の息子は低出生体重児ではないものの、出生体重も軽めで、生後数日はNICUで過ごしましたが、その後みるみる大きくなり立派に育ち続けています。

 


かつては息子のような子どもはすぐに死んでしまっていたかもしれないと考えると、医療技術の発達や、医療関係者の努力には感謝してもしきれません。

 


そして、不妊治療技術の発達も低体重出生児の増加と関係があると言われています。

 


お母さんの年齢が上がるほど、赤ちゃんの出生体重が下がる傾向があるのですが、 不妊治療技術

の発達により、出産年齢は上昇してきています。

 


また、体外受精を行う場合には、妊娠率を高めることを目的として複数個の受精卵を子宮に移植することがありますが、これは双子や三つ子などの多胎妊娠につながる場合があります。

 


そして、多胎妊娠もやはり、赤ちゃんの出生体重の低下につながります。

 


不妊治療技術の発達なくしては生まれてこなかった命が、望まれて生まれてくるわけですから、これは喜ばしいことだと個人的には考えています。

 


一方で、低体重出生はリスクを伴うわけですから、そうしたリスクを補えるような医療や社会の体制が必要です。

 


低出生体重児の割合は世界中で増えているものの、日本で特に増えている理由の一つには、

かつての産科医の「体重指導」が関係しているという説もあります。

 


みなさんも、 「小さく産んで大きく育てる」という言葉を聞いたことがないでしょうか。

 


これは日本の産婦人科医の間で広く使われてきたフレーズで、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の予防を目的として、妊婦の体重が増えすぎないように指導が行われてきました。

 


こうした指導は日本特有で、少なくともアメリカにおいては行われてこなかったようです。

 


この結果、妊婦の摂取カロリー量が一般の女性と大差ないレベルにとどまり、十分な栄養が取れていないのではないかという懸念が高まるようになりました。

 


2000年代なかば以降、こうした指導は行われておらず、今では、妊娠中にはより多くのカロリーを摂取するように呼びかけられています。

 


こうした産科医による指導の変化が、日本における低出生体重児の増加と、2000年代なかばに始まる下げ止まりと関係している可能性があります。

 


誤解を招かないために付言しておくと、「小さく産んで大きく育てる」は極端だったとしても、妊娠中の体重やカロリーのコントロールそのものは望ましいことです。

 


巨大児にもさまざまな合併症や問題があるので、妊娠糖尿病の予防や肥満のコントロールは必要なのです。

 


実際、中進国・発展途上国では医療水準が上がる中、妊婦への適切な体重指導が進んだ結果として、出生時の平均体重が減少したのかもしれません。

 


関連した要因として、日本人女性は、ここ数十年でBMI(肥満指数)が顕著に減少していて、摂取カロリーも長期的に減少していることも挙げられます。

 


また、日常的にあまり食べないお母さんにとって、妊娠中に体重を増やし出生体重を大きくするのは容易ではないため、これも低出生体重児の増加に関わっていると考えられます。

 


感想

 


低出生体重児が増えている原因が、あまり食べないことにあるとする説がおもしろいと思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『家族の幸せ』の経済学 

  データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実

  山口 慎太郎著

  光文社新書

 

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