こんにちは。冨樫純です。
独学で、政治学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
自然独占
いまや企業間の競争が華々しく展開されている電話事業も、1980年代半ばまでは電電公社が独占的に行っていたことはすでに述べた通りである。
なぜ初めから複数の企業に競争させなかったのであろうか。
電話サービスを商売にするには、最初に電話網を全国に張り巡らさなければならない。
これには巨額の初期投資が必要である。
しかし、いったんネットワークを張り巡らせてしまえば、電話サービスを利用するお客さんがどんどん増えていっても、あとは大してお金はかからない。
このような性格をもつ産業においては、 最初に投資をしてサービスを開始した会社は圧倒的に有利になる。
ある企業が、NTTに対抗して電話事業を始めようと考えたとしよう。 そこでまず、電話網を東京―大阪間に張り巡らして商売を始める。
お客を取るためには、安売りをしなければならない。 そこで、 電話料金を半額にしたとしよう。
NTT は、お客を取られては大変と相手ができないほどの大幅値下げをして対抗する。
この勝負は、すでに投資をしてネットワークを張り巡らせ、東京―大阪間のみならず全国ベースで利益を上げている NTTの勝利に終わるであろう。
ライバルが消えた後、NTT は、安売りで損をした分を、料金値上げで取り戻すこともできる。
普通は、市場の中で複数の企業が競争している方が、価格も下がり、質も良くなるものである。
しかし、電話ではなかなかそのような競争が起こらない。 電気とかガス、水道のように巨額の資金を投入してネットワークを築くことで初めてサービスが提供できる分野では、1つの会社が独占する傾向にあるのである。
1社に独占させて放っておくといろいろな問題が生じる。
とくに問題は、値段を勝手に上げることができることである。競争相手がいるのに値上げをすれば、そちらの方に客を取られてしまうが、独占企業にはその心配はない。
どうしても必要なサービスであれば、客はいくら高くても買わざるをえないからである。
そこで政府は、料金を認可制にして勝手に値上げができないようにするなど、独占企業が客に不利益をもたらさないようにチェックすることになる。
儲かると思えば、誰もが自由に会社をつくって、 商売を始める。
そうすれば、競争が活発になり、消費者にとっても良い結果が生じる。これが自由経済あるいは市場経済の大原則である。
しかし、 現実にはそうはいかないことがある。
かえって価格が割高になり、商品の質が向上しないことがある。 市場に任せきりにしていてはうま
くいかない場合があるのである。
このような状況を市場の失敗と呼ぶ。
それを避けるために、政府は独占を認めた企業の行動をさまざまに規制したり、政府自らが事業に乗り出したりする必要が生じるのである。
感想
電力会社も同じような傾向があると感じました。
下記の本を参考にしました
『はじめて出会う政治学』
構造改革の向こうに
北山 俊哉 他2名
有斐閣アルマ