こんにちは。冨樫純です。
独学で、政治学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
情報の非対称性
市場の失敗のもう1つのパターンは、 「情報の非対称性」といわれるものである。
政府が介入する際にもっとも頻繁に挙げられるものである。
たとえば、弁護士になるには、高いお金を払ったうえで、ロースクールに行き、さらに国家試験 (司法試験)に合格しなければならない。
けれども、どうしてある職業につくために試験を受け、合格しなければならないのだろうか。
誰でも自由に法律の勉強をして、 本人が納得したところで、「弁護士事務所」の看板を掲げて仕事を始めてもいいではないか。
なぜ政府にお墨付きをもらわなければならないのであろうか。
政府が能力の審査をして、一定の基準を満たしていると保証してくれた弁護士でなければ、安心して法律の相談をできないということかもしれない。
しかし、とこの電器店の電話が安いという噂を聞いて買い物に出かけるのと同様に、あの弁護士は「腕が立つ」という評判を聞いて、相談に行くこともできるはずである。
弁護士に能力がなければ、客が寄りつかず、いずれは廃業に追い込まれるに決まっている。
好きなように開業させてやればよいのである。
政府が口を出す必要はない。 能力のあるなしは市場で判断されるからである。どうして、自由にさせないのか。
これに対する答えが「情報の非対称性」である。
一般の市民には弁護士の質の良し悪しを見分ける知識や情報がなく、弁護士には簡単に市民をあしらう知識や情報があるという意味である。
一方には情報はなく、他方に情報があるから、情報のない市民に代わって、政府が弁護士の能力の審査、つまり品質保証をするというわけである。
市場の失敗には他にも、公害などのように外部不経済といわれるものがあるが、 要するに、市場
経済においても、自発的に動く個人からなる市場に任せきりにしていると、あるサービスが供給されなかったり、消費者が不利益を被ったりすることがある。
そのような状況を是正するために、政府が活躍しなければならないのである。
「政府の介入」の仕方にもいろいろある。
政府自らがものをつくったりサービスを提供したりすることもある。 政府が民間の動きを法律な
どで規制したりすることもあるだろう。
政府が民間企業に補助金を出すなどして、企業の活動を一定の方向に導くという方法もある。
以上の話をふまえると、 なぜ電話事業の分野で民間企業の競争に任せずに政府自らがサービスを提供したのかという疑問に対して、次のように答えることができる。
電話事業のように巨額の資金を投入してネットワークを築く必要がある場合には、自然に独占企業が生じてしまうので、初めから政府が独占的にサービスを提供した方が問題が少ないと考えられたからである。
電気やガス、水が公共料金となっているのは、それが必需品だからではなく、1軒1軒にネットワークをつくって行うサービスだからである。
同じ財でも、このように供給されないのであれば、市場において競争が行われる。 電池、プロパンガスや卓上カセットボンべ、そしてペットボトル入りの水は多くの会社が販売している。
感想
「情報の非対称性」は経済学の教科書にも載ってる有名な理論ですが、政治学でも使われるようです。
たしかに、政府が介入すべきだと思いました。
下記の本を参考にしました
『はじめて出会う政治学』
構造改革の向こうに
北山 俊哉 他2名
有斐閣アルマ