こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
自殺は社会が決める!?!?!
1866~78年のヨーロッパ3ヵ国の自殺率の推移をみると、1年間ごとの3ヵ国の自殺率は若干の増減は見られるもののほぼ一定しています。
しかもデンマークの自殺率はイタリアの9倍にものぼっていることからわかるように、自殺率は誰の目から見ても国によって大きな違いがありま
す。
このように、自殺率がある社会集団において一定で、しかも集団によって著しく異なるのは、自殺がたんに個人の心理的要因ではなく、まさしく社会的要因によって決定されることを示しています。
それでは、どのようにして自殺が社会的に決定されるのでしょうか?
まず宗教の違いがどのように自殺に影響しているのかを見てみましょう。
キリスト教にはカトリックとプロテスタントという宗派があって、この2つの宗派の自殺率を比較して、も大きな違いがあればどうでしょう?
宗教が自殺に影響を及ぼしていることがわか
りますよね。
その結果、ドイツの自殺率は、キリスト教のどの宗派を信仰しているかに左右されています。
プロテスタントのほうがカトリックよりも自殺する確率が高いことがわかります。いったいなぜだと思いますか?
作者はその理由を、2つの宗派の信仰の違いから説明しました。カトリックは教会に権威があり、信徒は教義を厳格に守っています。
そのことによって宗教集団としての結束力が強い。ところがプロテスタントは個人主義的な宗派で、信仰とは何かを個人で考えるために信徒間の結びつきが弱く、ひとりの人間として孤立しやすいというのです。
なんだ宗教の話に入っていくのかと思ったみなさんには、「家族」についても同じことがいえるのです。
男性の未婚者、やもめ(配偶者と離死別)、既婚者の順に自殺率は低くなっており、家族に保護されない男性が孤立する傾向にあります。
また、子どもの有無で自殺率を比べると、子どものいる既婚者の自殺率は大幅に低くなります。
つまり、夫婦と子どもからなる家族が自殺を抑止(予防)する効果をもっていることが統計データか
ら明らかになります。
ほかにも、自殺率と他殺率、つまり殺人は反比例する、というデータがあります。
自殺率と他殺率の反比例がもっとも顕著に表れるのが、戦争です。戦時の自殺率は平時に比べると低くなります。
これは多くの人間が自分を傷つけることなく、人を殺すチャンスを与えられるためなのです。
感想
一般的に自殺は個人の問題だと思われがちなので、おもしろい視点だと思いました。
下記の本を参考にしました
『体感する 社会学』
金菱 清著