こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
「寝たきり老人」はいない?
ソーシャルサービス(社会福祉)を専門としている大熊由紀子さんが書いた『「寝たきり老人」のいる国いない国』という本があります。
えっと思われるかもしれませんが、北欧ではいわゆる「寝たきり老人」がいないという趣旨の本なのです。
高齢社会を迎えた日本では寝たきりはよくあることですが、それがないとはどういうことなのでしょう。
北欧の国々を訪ねた大熊さんは「寝たきり老人」に当たるお年寄りがいないことに気づきました。
「寝たきり」ということばが通じないので、たとえば脳卒中で半身不随になり、自分でベッドから起きられず、おむつをして、寝巻き姿で天井を向いて、一日中寝ているお年寄りの集団を探しましたが、見つかりません。
隠れているのではないかと尋ねてみると、そういう人ならいると言われます。
その人たちは「介護が必要なお年寄り」と呼ばれていて、大熊さんが驚いたことに、脳卒中の後遺症のある女性は身体が不自由にもかかわらず、寝たきりではなく車いすに座っていました。
日本で養老院カットといわれるザンギリ頭ではなく、銀髪を美しくセットしたおしゃれな人だったのです。
そのとき大熊さんは「寝たきり老人」と呼ばれている人びとが、じつは周囲によって「寝かせきり」にされたお年寄りのことであると気づきます。
「お年寄りを〈寝かせきり〉にしておいて、その被害者に〈寝たきり老人〉などという失礼なレッテルを貼りつける。そして、そのことばをくり返しくり返し書いたり聞いたりする。
そうすると、〈寝たきり老人〉は永久に〈寝たきり〉であり、そうなったのは〈やむをえなかったこと〉のように錯覚してしまいます」と大熊さんは言います。
言葉は不思議なもので、この魔力こそがレッテル
貼り(ラベリング)ですね。
その国では脳卒中で倒れて入院すると同時に、リハビリと退院の計画が立てられるのに比べて、日本では「寝たきり」のまま〝廃用症候群”に陥っていくのです。
感想
正直驚きました。「寝たきり老人」がいない国もあるんですね。
レッテル貼りは強力なことを改めて感じました。
下記の本を参考にしました
『体感する 社会学』
金菱 清著