とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

人間は社会的動物か

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、政治学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


フランス革命省察

 


フランス革命の報に接し、イギリスの世論ははじめ好意的であった。 中にはフランスにならって、イギリスも改革を行うべきだという声もあったほどである。

 


これに対しバークは革命直後の1790年、早くも 「フランス革命省察」を発表する。 あたかも疫病のように広がるフランス革命熱に対し、あくまでイギリス国制を擁護しようとしたのである。

 


人間は決して白紙で生まれない。 社会的動物としての人間は、習慣を身につけることではじめて人間となる。

 


バークはここで先入見という言葉を使っている。 文字通りには、あらかじめ判断していることを指すこの言葉は、 ある社会において歴史的に定着したものの見方や考え方を意味する。

 


このような先入見なしには、人間は何一つ判断することはできないし、正しく行動することもできない。

 


社会も歴史の中で形成されるのであり、各国の国制は慣習を通じて確立する。国家は社会契約によって打ち立てられるものではなく、時間の経過とともに自然に成長してきた産物なのである。

 


人間の自由もまたその枠内においてのみ存在すべきであり先入見や慣習抜きの自然状態などは、単に無秩序であり、野蛮であるとバークは切り捨てる。

 


人々が享受する権利についても、具体的な内容をもち、各国の歴史的な伝統によって一つ一つ確認されたものが真の権利である。

 


それゆえにイギリス人の権利はあっても、抽象的な人間の権利などありえない。

 


それなのにフランス革命は、抽象的な個人の権利を振りかざして、歴史的に構築されてきた国制の複雑な構造を破壊してしまったとバークは批判する。

 


イギリス人の権利が名誉革命によって回復されたのに対して、フランス革命は政治的共知なき成り上がりものの革命にほかならない。

 


このように断じるバークの目に映ったフランス革命の指導者は民衆を巧みに導くどころかむしろ彼らに迎合し、治者と被治者の一致を免罪符に破壊行為を推し進めた人々であった。

 


もちろん、あらゆる変化が否定されるわけではない。 バークはむしろ、天性の貴族による不断の改良を強調し続けた。

 


一国の国制をよく保つのは、絶えざる漸進的改良である。 バークの目に映ったフランス革命は、哲学者による革命であり、あまりに思弁的かつ形而

上学的な革命であった。

 


このように、バークの保守主義は、単なる伝統主義や、過去の社会への復帰を求める反動ではない。

 


それはむしろ、フランス革命という歴史に明確な断絶をもたらす事件に対し、 あらためて歴史の

連続性を強調し、一つの社会を支えているものを自覚的にとらえ直す試みであった。

 


個人の合意に基づく社会の形成が単なる理論にとどまらず、実際に一つの国を変えるようになった時代にあって、 バークの保守主義はきわめて近代的な性格をもっていた。

 


感想

 


人間は決して白紙で生まれない。 社会的動物としての人間は、習慣を身につけることではじめて人間となる。

 


という箇所がおもしろいと思いました。

 


どこかで聞いたことのある名言のような気もしますが、おそらく、ここから来ていると思います。

 


下記の本を参考にしました

 


『西洋政治思想史』

 宇野 重規著

 有斐閣アルマ

 

flier(フライヤー)