こんにちは。冨樫純です。
独学で、政治学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
イギリスのロバート・オーウェンは、自ら工場経営者として産業革命の現実を眼前にし、社会改良をめざした。
社会の目的は人間の知的・肉体的・精神的な改善にあるが、市場における競争は人間を道徳的に改善しない。
そのように考えたオーウェンは、労働者のための新しい社会論、教育論をめざした。
環境が人間の性格に大きく影響すると考えたオーウェンは、「人間は自由な主体である」という名目の下に、すべてを労働者の自己責任にしたとき、むしろ社会の分裂と対立が悪化すると考えた。
そこからオーウェンは、自らが経営するニュー・ラナークの紡績工場で生産と労務の科学的管理をめざすと同時に、労働条件や福利厚生を改善することで労働者の勤労意欲を高めようとした。
教育を通じての社会改革にも大きな関心をもっていたオーウェンは、児童労働を禁止する工場法の制定のために努力し、さらに工場に子どものための学校を併設した。
オーウェンはまた、労働者の協同組織づくりを構想した。 相互利益のために労働と資本を結合し、生産管理・分配の協同管理を実現することで、新たな道徳的・倫理的秩序の確立をめざしたのであ
る。
その後オーウェンは、アメリカに渡り、ニュー・ハーモニーという名の協同体づくりも試みている。
資本家の立場からの温情主義的な改良主義といわれることの多いオーウェンだが、そのための実験
を行い、実践に努めた人生であった。
ピエール・ジョセフ・プルードンはオーウェンとは違い、貧しい職人の家に生まれ、独学で政治学や経済学を身につけた。
各地で修業しながら熟練工になった彼のキャリアこそが、自由な交換による生産者の社会という秩序構想につながっている。
『所有とは何か』における 「所有とは盗みである」 という命題で話題となったプルードンであるが、私的所有を完全に否定しているわけではない。
労働者が自らの生産したものが高価で買えないという現状を批判したプルードンは、各個人の自主性が正しく社会化されることをめざした。
単なる共有は、むしろ各自の固有性を否定するものとして退けられた。
各自が異質で多様であるからこそ、その間に交流や交換が生じる。
プルードンがめざしたのは、交換を通じて各自の個性がますます豊かになるような社会主義であった。
おのおのが独立しながら、真に合理的な交換が行われることで秩序を生み出すことを、彼は連合の
原理と呼んだ。
プルードンが重視したのは労働の組織化である。
諸個人を自律的な生産者の小集団に組織化し、そのような労働者の協同組織が連合することで、最終的には国家を死滅させることも可能である。
このようなプルードンの思想は、アナルコサンディカリズム(無政府主義的組合主義)の理論的支柱となった。
感想
オーウェンは、労働条件や福利厚生を改善することで労働者の勤労意欲を高めようとしたり、児童労働を禁止する工場法の制定のために努力し、さらに工場に子どものための学校を併設したという。
どちらの提案も現代にも活かされていると思いました。
下記の本を参考にしました
『西洋政治思想史』
宇野 重規著
有斐閣アルマ