とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

ケインジアン福祉国家とは

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


ケインジアン福祉国家の前提

 


日本も含めて、20世紀の福祉国家のあり方は、しばしば 「ケインジアン福祉国家」 (KWS) と呼ばれる。

 


そこでは、政府が一国の総需要を管理しながら経済成長を推進して完全雇用を実現していくという、ケインジアンの経済政策と福祉国家の社会政策とが密接に結びついていたからである。 

 


そして経済政策がうまくいっていれば、緩やかなインフレはあるものの、社会政策の財源も確保される。

 


このケインジアン福祉国家はさまざまな条件のもとで成立した。

 


その第1は、ブレトン・ウッズ体制と呼ばれた戦後世界のレジームである。

 


それは、自由貿易を維持しながら、各国政府が国内政策を自由におこなうことをできるようにするための仕組みであった。

 


そこでは政府が為替を厳格に管理し、資本は移動の自由を著しく制限された。

 


このメカニズムは、福祉国家のなかに自由主義が埋め込まれているという意味で、「埋め込まれた自由主義」(J.ラギー)という言い方がされる。

 


第2は、フォーディズムと呼ばれる生産のレジームである。

 


産業革命以後の資本主義は、工場内分業の仕組みを著しく発達させた。

 


先進諸国では、作業効率の徹底を図ったテイラリズムと呼ばれる科学的管理法が発達し、20世紀の初頭になると、フォーデイズムと呼ばれる大量生産・大量消費の体制がアメリカで生まれた。

 


フォーディズムという言葉は、自動車メーカーのフォード社が、流れ作業によって低価格の自動車の生産に成功したことに由来する。

 


同社は大量生産によって自動車の販売価格を引き下げただけでなく、同社で働く労働者に対して高賃金を支払った。

 


これによって労働者の購買力が高まり、大量消費への道が開かれた。

 


この大量生産大量消費の仕組みは先進諸国の重化学工業を中心に普及して、20世紀の第3四半期における世界的な高成長を支えた。

 


フォーディズムの時代は、産業構造のなかで製造業が重要な役割を果たした時代である。

 


製造業は、先進諸国の経済成長を牽引しただけでなく、均質的で組織された。

 


大規模な労働者階級を生み出した。 これは社会保障制度の運営にとっても好都合であった。

 


製造業の拡大は、 社会保険の加入者の増大をもたらし、社会保険財政の安定化に寄与した。

 


製造業の労働者はよく組織されており、彼ら彼女らから社会保険料を徴収することは容易であった。

 


第3は、近代家父長制家族と呼ばれる再生産のレジームである。

 


20世紀の半ばには、先進諸国においても女性の労働力率は低かった。

 


このため成立当初の福祉国家の税制や社会保障制度は、男性が一家の大黒柱として家族を扶養する男性稼ぎ手モデルにもとづいて設計された。

 


このモデルのもとでは、男性労働者の生活が保障されれば、その他の人口の生活も安定するはずだった。

 


さらに 「人口ボーナス」 (若年労働者の割合が多く被扶養人口の割合が少ない状態)と呼ばれるものの存在も大きい。

 


20世紀の第3四半期において、ヨーロッパの先進諸国はすでに65歳以上人口が10%を超えており、この点は日本や韓国などの東アジア諸国と異なっていた。

 


今日に比べると、当時の日本の人口構成は相当若かった。このため公的年金をはじめとする社会支出の負担は、少なくすますことができた。

 


経済が順調に成長している限り、社会のグランドデザイン社会保障制度の財政を心配する必要は少なかったのである。

 


感想 

 


ケインジアン福祉国家が機能したのは、たまたまに思えるのはぼくだけだろうか?

 


下記の本を参考にしました

 


『Do! ソシオロジー』改訂版       

 現代日本社会学で診る

 友枝 敏雄 他1名

 有斐閣アルマ

 

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