こんにちは。冨樫純です。
さすがに50年以上も前の憲法なので、変える必要があるところは変えたほうがいいと思います。
アメリカ合衆国憲法 (1788 年成立)は、すでに 200年以上の長寿を誇っているが、この間「権利章典」(人権条項)を含む 27 の修正条項を追加してきた。
ドイツのボン基本法(1949年成立)は、すでに50回以上に及ぶ改正を経験し、そのなかにはドイツ統一やEU 統合に関係するものも含まれる。
フランスはフランス革命後15回以上もの改正を経験してきた。
戦後も第4共和制憲法 (1946年成立)ののち、強大な大統領の権限を特徴とするドゴール憲法と呼ばれる第5共和制憲法(1958年成立)が生まれ、今日に至っている。
このように、法典化された憲法が時代を超えて無修正のままで生き延びるのはなかなかないことである。
日本でも大日本帝国憲法(明治憲法)は「不磨の大典」を自称したが、敗戦とともにその効力はまったく消滅した(現憲法が明治憲法の「改正」手続を用いたのは、国民のショックを和らげるための政治的なねらいによるもので、実際には明治憲法は敗戦とともに実効性を失っていた)。
しかし、小規模改正ならともかく、本質を変えてしまうような大規模な改正はもはや改正ではなく、体制の抜本的変革をもたらす(あるいは、それを明示する)のであるから、新たな憲法制定というべきである(この意味で「改正」という言葉づかい」には限界がある)。
大規模な改正の後でも、主権者が国民であり続ける保障はどこにもないが、原則として主権者が憲法をどのように書こうとも、それは主権者の勝手というほかはない(つまり、新憲法の制定には限界はない)。
しかしながら、新憲法の制定に匹敵する大規模修正を、「改正」という現行憲法のノーマルな代替りのような呼び方で表現するのは、事態の重大さを覆い隠すことにもなりかねないので、憲法制定と憲法改正との概念上の区別はやはり重要なのである。
なお、戦後の荒波を乗り越えて、いよいよ「不磨の大典」になりかけていた日本国憲法にも、ここにきて黄信号がともりだした。
1999年7月、国会法の改正などにより衆参両院にそれぞれ「憲法調査会」が設けられ(実施は 2000年の通常国会から)海外憲法事情の調査など、精力的に活動した。
2007年5月の「国民投票法」(2010年施行)を置きみやげに2007年8月、同調査会は廃止され「憲法審査会」へとヴァージョンアップされ、2011年10月にようやく開催された。
また、2012年4月に自民党が独自に日本国憲法改正草案(Material ならびに次頁の「前文」参照)を発表したが、そこでは、環境権は権利ではなく、政策目標にとどめ、憲法裁判所は見送られ、9条1項は「永久にこれを放棄する。」の表現が修正され、2項を全面的に書き換え、9条の2を設けてそこに「国防軍」の保持を明記し国際協調のための海外派遣を認めるなどしている。
2012年末に自民党が民主党から政権を取り戻して以降、とりわけ日本国憲法96条1項の定める憲法改正発議要件を「3分の2」から「過半数」に緩和する「96条改正」をめぐって、激しい議論が行われた。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい憲法入門 』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ