こんにちは。冨樫純です。
独学で、政治学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
ソクラテスの登場
知的動揺期にソクラテスは現れた。
ちなみに彼は1冊の著作も残しておらず、その言行は、な以下に紹介するプラトンらによって伝えられているだけである。
彼はただ自らの信じるところに従って生きたのであり、その人生をもって巨大な倫理革命を引き起こしたといえよう。
それにしても、ソクラテスはなぜそれほどの影響力をもったのだろう。
彼はただデルフォイの神託に従い、真に知るとはどういうことかを、対話を通じて明らかにしようとしただけである。
権力も財力もないソクラテスは、まさに徒手空拳でポリスの秩序と向き合わざるをえなかった。
彼の悲劇的な死は、そのことを如実に示している。
ソクラテスにとって 生きるとはただ生きることではなく、「よく生きる」ことを意味した。
それでは、どうすれば 「よく生きる」ことができるのだろうか。 彼は自らの魂への配慮が何よりも重要であると説いた。
それでは魂とは何か。 ソクラテスはいう。 仮に権力者に迫害されて死ぬとしても、そのことで魂は傷つかない。
しかしながら、自分に嘘をつくこと、自らの信念に反した行動をとることは、魂を損なう。 肝心なのは不正を行わないことである。 それゆえ、人に不正を加え、自分の魂を振り返ることのない独裁者ほど哀れなものはいない。
このようなソクラテスの主張は、それまでのギリシア人の価値観を180度転換させるものであった。
というのも、ギリシア人にとって価値ある人生とは、仲間の市民の眼前で政治的・軍事的に活躍して、不朽の名声を後世に残すことであったからである。
これに対しソクラテスは、社会的な成功や名声よりも、自らの内面の方が大切であると主張した。
魂への配慮と比べれば、それらは無に等しい、というわけである。
ソクラテスを批判する人からすれば、彼はソフィストの一人、最も悪質なソフィストであった。
というのも、彼の考え方は、法に代表されるポリスの伝統的な価値観を否定する危険性を秘めていたからである。
反面、ソクラテスはソフィストと違い、「すべては人次第」という相対主義者ではなかった。
彼は魂への配慮という新たな価値を示したのであり、それまでの哲学者がもっぱら自然の中における不変の原理を探究したのに対し、人間の倫理における新たな原理を模索したのである。
しかしながら、ソクラテスは祖国であるアテナイによって、それもまさにアテナイのデモクラシーによって死に至る。
このことの意味を追究したのが、弟子プラトンである。
感想
自分に嘘をつくこと、自らの信念に反した行動をとることは、魂を損なう。 肝心なのは不正を行わないことであるというソクラテスの主張は現代にも影響を与えていると感じました。
下記の本を参考にしました
『西洋政治思想史』
宇野 重規著
有斐閣アルマ