こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
生活設計におけるリスクの高まり
高校の家庭科に、 生活設計という項目がある。
そこで、「あなたの生活設計を考えてみましょう」 という課題が出されることが多い。
何歳のときに就職して、何歳のときに結婚して、子どもは何人、家を買って、子どもが独立、といったシートを書かされた人も多いだろう。
生活に関するリスクを一言で言えば、「人生計画どおりにいかない」ということである。
それも、家を買うのが40歳のときに予定していたが、45歳になってしまったという程度の狂いではない。
結婚や就職などの人生にとって基本的な出来事も、計画どおりにいかない可能性が高まっているのだ。
家族イベントを見てみよう。 1980年生まれの人は、生涯未婚率、つまり、結婚しない人は、全体の20%程度になると計算されている。
また、離婚経験率、つまり、結婚して一度以上離婚を経験する人は、30% になると予測されている。
結婚しない人は独身主義者ではないかと思う人がいるかもしれない。しかし、調査によると、約9割の未婚者は結婚希望をもっている 。
確信的な独身主義者、つまり、計画どおりに独身生活を送る人はたかだか数%と見積もられている。
大部分の独身者は、計画外の独身者なのだ。
また、結婚時点で離婚を生活設計に入れる人はいない。 アメリカでは、1980年以降、離婚確率は5割程度となっている。
筆者が、離婚経験のあるアメリカ人女性に「離婚が多いとわかっているのになぜ結婚したのか」と質問したとき、彼女は、「アメリカ人だって、結婚したときは、自分たちだけはこの愛情は一生続くと思うのよ」と答えていた。
正反対のケースも増えている。
2009年時点で妊娠がわかった後に結婚するケース、いわゆる「できちゃった婚」 は、約15万組にのぼる。
結婚数は約70万組なので、結婚した人の2割は結
婚以前に妊娠していたという計算になる。
なかには計画した人もいるかもしれないが、多くは、妊娠前には結婚することを予測しなかったカップルである。
つまり、多くの若者は結婚してから子どもを妊娠し、離婚しないという計画を立てるかもしれないが、それが実現する人は、4割弱である (結婚する人が8割 離婚を経験する人が3割だから、 結婚して離婚しない人が5割, そのうちの5分の1が「できちゃった婚」だから、残る4割が結婚してから妊娠・出産し、その後離婚しないということになる)。
6割以上の人は、結婚に限っても計画外の人生を送ることになる (ちなみに、1940年生まれの人は97%結婚し、離婚経験率は 10%程度できちゃった婚はほとんどなかった)。
もちろん、計画外の人生が不幸で計画した人生が幸福だと主張しているわけではないから注意してほしい。
職業に関しても、リスク社会の影響は強まっている。 フリーターと呼ばれるアルバイトだけをしている若者が増えている。
1990年ごろまでは、学卒後、望めば正社員になれたから、フリーターといえば自ら選んでなった若者が多かった。
しかし、90年代半ばから、希望の職業に就けなかったゆえに 「仕方なく」 アルバイトや派遣など非正規雇用に就く若者も増えている。
さらに、正社員として就職しても仕事が合わない等の理由で辞めたり、解雇や勤め先の倒産などで、失業したり、アルバイトになったりするケースも多い。
つまり、「計画」のものとして、正社員として就職できないリスク、勤め続けられないというリスクが高まっているのだ。
「結婚して離婚しない」 「就職して失業しない」という 1990年頃にはあたりまえと思われていた生活上のイベントが、 あたりまえではなくなるという時代に入っている。
感想
たしかに、人生が計画通りに行く人の方が珍しいと思います。
また、リスクの少なかった時代の方が幸せかというとそうでもない気もします。
下記の本を参考にしました
『Do! ソシオロジー』改訂版
友枝 敏雄 他1名
有斐閣アルマ