こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
孤人化時代のアイデンティティ
第1の近代における個人主義化は、諸個人を理不尽な伝統的抑圧から解放するに益するものであった。
そして第2の近代においても、同様に個人的な自由がさらに増進する可能性があるというのはまちがいない。
たとえば、女性らしさや高齢者らしさといったものが当人たちの意志に反して押しつけられているような場合には、そうした集合的アイデンティティが緩んでくるのは歓迎すべき事態といえる。
昨今、アイデンティティやアイデンティフィケーション全般を否定的にとらえる極端な議論も一部で聞かれるようになったが、これには注意しておいたほうがいい。 何ものにもアイデンテイファイしないというのは、すなわち究極の孤立を意味するからだ。
その点、近年の 「自分らしさ」志向はじつは諸々の制度役割からの単なる逃避にすぎず、明確な個性を意味していないのではないかという疑義や、個性とはそもそも時間的に一貫したものであるはずなのに、外面的個性化ばかりを狙って商品をやたらと多様に変化させてしまう企業の姿勢が本来的な個性的消費を阻んでいるという批判がある。
また現代人はコミュニケーションが大事だといいながら、何を伝えるべきかという肝心の中身についてはよくわかっていないという指摘は、傾聴に値しよう。
これらはいずれも、今日的アイデンティティの内実が希薄だということを示唆している。
ファッションでいかに表面的な装いを凝らしても、自分の外側の何物・何者・何事にも真剣にアイデンティファイすることなく、それを内側へと取り込むことを避けているかぎり、結局自分の中身は空虚なものに留まってしまう。
孤人なので自分という殻は硬く、その中身はないということである。
感想
「自分らしさ」志向はじつは諸々の制度役割からの単なる逃避にすぎず、明確な個性を意味していないのではないかという指摘がおもしろいと思いました。
「自分らしさ」は特にサラリーマンには必要ないかもしれません。
そのポジションの役割を果たせばいいので。
下記の本を参考にしました
『Do! ソシオロジー』改訂版
友枝 敏雄 他1名
有斐閣アルマ